対象 |
当院にて、2021年5月~2022年3月の期間に前処置及び大腸内視鏡検査が実施された20歳以上の患者106名を対象とした。全周性または亜全周性の大腸癌を指摘されている患者、大腸切除歴のある患者(虫垂切除は除く)、ECOG-PS(EasternCooperative Oncology Group Performance Status)2以上の患者、重度の認知機能低下を認める患者は除外した。 |
前処置の方法 |
研究に参加した患者は、大腸内視鏡検査前日から低残渣食を摂取し、前日夜にピコスルファートナトリウム10mLを服用した。大腸内視鏡検査当日は、腸管洗浄液としてアスコルビン酸含有ポリエチレングリコール製剤(PEGA製剤)1~2Lまたはクエン酸マグネシウム(MC製剤)1.8Lを経口服用して前処置を実施した。 |
appの概要 |
appでは排便性状は、図Aのように4段階で評価され★1個、★2個、★2.5個、★3個で表示される。固形あるいは泥状の便は★1個、濁りのある水様便は★2個、固形あるいは泥状の便の直後に排泄された透明な水様便、あるいは排便回数が5回未満で排泄された透明な水様便は★2.5個、透明な水様便は★3個で表示される。 図A. ![]() |
appの使用と大腸内視鏡検査までの流れ |
appがダウンロードされたデバイスを患者に貸与し、大腸内視鏡検査当日の腸管洗浄液を内服した後の初回の排便時から排便画像を撮像するように指示した。排便画像の撮像の際には、使用済みのトイレットペーパーで排便が隠れて評価できなくなることを避けるために、トイレットペーパーを汚物入れに入れた後で排便画像を撮影するよう指示した。 前処置開始から3時間が経過した時点で、appの判定が★3個であれば大腸内視鏡検査を実施した。前処置開始から3時間が経過した時点でappの判定が★3個でない場合は医師の判断により追加処置(腸管洗浄液の追加内服または浣腸)を行い、appの判定が★3個になった場合には大腸内視鏡検査を実施した。これらの処置を許容できない患者や、追加処置を実施してもアプリの判定が★3個にならない患者に対しては医師の判断で大腸内視鏡検査を実施した。(図B) 図B. 検査前処置の流れ. ![]() |
監修者コメント
開発したappを使用して前処置を行った上で実施された大腸内視鏡検査において、腸管洗浄度の指標であるBBPSが6点以上であった割合は99.0%(103/104例)であり、設定された期待値(95%)を上回る結果であった。またADR、盲腸到達率、平均抜去観察時間は共にESGE(EuropeanSociety of Gastrointestinal Endoscopy)で設定されている目標値を上回る結果であった。以上のことから、開発したappを使用して前処置を実施した場合に適切な質を保った大腸内視鏡検査が実施できる可能性が示唆された。また患者や看護師を対象としたアンケート結果からは、多くの患者にとってappは簡単に使用できるものであり、またappによって医療従事者の前処置における業務負担が軽減されることが示唆された。臨床現場へのappの導入は、医療従事者の業務負担を軽減しつつ、質の保たれた大腸内視鏡検査の実施を可能にするツールとなりえるのではないかと考えられる。
2025年10月作成
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