国内第Ⅲ相試験

臨床成績(国内第Ⅲ相試験)レクタブル®2mg注腸フォーム14回
社内資料:国内第Ⅲ相試験(承認時評価資料)
Naganuma M., et al. : J Gastroenterol, 53(4), 494, 2018 利益相反:当研究はEAファーマ株式会社の支援にて行われた。

「禁忌を含む注意事項等情報」等は、Drug Informationをご参照ください。

試験概要

目的 プラセボを対照とした二重盲検比較試験によりレクタブル®2mg(ブデソニドとして)を1日2回6週間直腸内投与した際の粘膜治癒率を主要評価項目として、レクタブル®のプラセボに対する優越性を検証するとともに安全性を検討する。
また、6週間投与にて治療反応が認められたが粘膜治癒には至らなかった患者を対象に、レクタブル®をさらに6週間継続投与した際の安全性及び有効性を検討する。
試験デザイン プラセボ対照無作為化二重盲検多施設共同並行群間比較試験
対象 軽症から中等症の活動期潰瘍性大腸炎患者126例(レクタブル®群64例、プラセボ群62例)、そのうち継続投与した患者39例(レクタブル®群20例、プラセボ群19例)
投与方法 レクタブル®1日2回(ブデソニドとして4mg/日)又はプラセボ1日2回を、朝と夜なるべく排便後に直腸内投与した。
投与期間は6週間、継続投与期間は6週間(累計投与期間は最大でも12週間まで)とした。
評価項目 有効性の主要評価項目:(検証的解析項目)粘膜治癒率【6週】(内視鏡所見スコア=0点の患者の割合)
(サブグループ解析)粘膜治癒率【6週】(病型別:直腸炎型、左側大腸炎型、全大腸炎型)
有効性の副次評価項目:粘膜寛解率【6週】(内視鏡所見スコア≦1点の患者の割合)
寛解率【6週】(以下の3つの条件を満たす患者の割合:血便スコア=0点、内視鏡所見スコア≦1点、排便回数スコア=0点あるいは、0週より1点以上 減少)
血便スコア=0点の患者の割合【2週、4週、6週】
MMDAIスコア≦1点の患者の割合【6週】
その他の評価項目:受容性アンケート【6週】
安全性:血漿コルチゾール濃度の推移、副作用
※直腸からS状結腸にかけての病変部位を観察
解析計画 主要評価項目の主解析として、粘膜治癒率【6週】について、投与群ごとに点推定値及び95%信頼区間を求め、レクタブル®群とプラセボ群の対比を、下記の割付因子を共変量としたロジスティック回帰モデルで設定し、優越性の検定を行った。有意差は尤度比検定を用いた。
  • 現在の活動期の治療における局所製剤の使用有無(無し、有り)
  • 本登録日の排便スコア、血便スコア、内視鏡所見スコアの合計(4以下、5以上)
  • 原疾患の病変部位による分類(直腸及びS状結腸に限局、S状結腸を超えて口側に伸展)
粘膜治癒率については、病変の拡がりによる分類(病型別:直腸炎型、左側大腸炎型、全大腸炎型)を層別因子としたサブグループ解析を行うこととした。
副次評価項目である粘膜寛解率【6週】、寛解率【6週】、血便スコア=0点の患者の割合【2週、4週、6週】及びMMDAIスコア≦1点の患者の割合【6週】については、投与群ごとに各割合の点推定値及び95%信頼区間を求めた。血便スコア=0点の患者の割合は、投与群ごとに各割合の点推定値を日毎に求めた。
継続投与に移行した症例については、血便スコア0点を満たす患者の割合、MMDAIの各サブスコアの推移などについて別途解析を実施した。
受容性アンケートはアンケート項目ごとに回答別の頻度とその割合を算出した。
副作用はMedDRAを用いて読み替え、器官別大分類(SOC)及び基本語(PT)ごとに副作用の発現例数及び発現率を投与群別に集計した。

有効性

粘膜治癒率6週(検証的解析結果)[主要評価項目]

粘膜治癒率(内視鏡所見スコア=0点の患者の割合)は、プラセボ群3.2%、レクタブル®群32.8%であり、両群間に有意差が認められた(尤度比検定,p<0.0001,検証的解析結果)。プラセボ群に対するオッズ比は、17.2〔95%信頼区間:4.5, 114.4〕であり、プラセボに対する優越性が検証された。
chart01_1000-655_202506
  プラセボ群 レクタブル®
粘膜治癒率(%)[95%信頼区間] 3.2〔0.9, 11.0〕 32.8〔22.6, 45.0〕
オッズ比[95%信頼区間] 17.2〔4.5, 114.4〕
オッズ比はロジスティック回帰モデルによる。
※:粘膜治癒率(%)=(粘膜治癒した患者数÷総患者数)×100

注)共変量は以下のとおり
  • 現在の活動期の治療における局所製剤の使用有無(無し、有り)
  • 本登録日の排便スコア、血便スコア、内視鏡所見スコアの合計(4以下、5以上)
  • 原疾患の病変部位による分類(直腸及びS状結腸に限局、S状結腸を超えて口側に伸展)

7. 用法及び用量に関連する注意 本剤投与中は患者の病態を十分観察し、投与開始6週間を目安に本剤の必要性を検討し、漫然と投与を継続しないこと。[17.1.1 参照]

主要評価項目である粘膜治癒率の部分集団における結果【6週】

●病型別(サブグループ解析)

病型別における粘膜治癒率は、以下のとおりであった。

chart02_1000-715_202506
  直腸炎型 左側大腸炎型 全大腸炎型
プラセボ群 レクタブル® プラセボ群 レクタブル® プラセボ群 レクタブル®
群間差の点推定値(%)
〔95%信頼区間〕
31.8〔10.8, 52.7〕 29.6〔10.1, 47.7〕 27.3〔-19.6, 56.6〕

5. 効能又は効果に関連する注意 本剤が腸内で到達する範囲は概ねS状結腸部までであり、直腸部及びS状結腸部の病変に対して使用すること。[16.8.2 参照]

粘膜寛解率【6週】[副次評価項目]

粘膜寛解率(内視鏡所見スコア≦1点の患者の割合)は、プラセボ群35.5%、レクタブル®群75.0%であった。
chart03_1000-655_202506
  プラセボ群 レクタブル®
粘膜治癒率(%)[95%信頼区間] 35.5〔24.7, 47.9〕 75.0〔63.2, 84.0〕
プラセボ群との差の点推定値〔95%信頼区間〕 39.5〔22.4, 53.5〕
粘膜寛解率:内視鏡所見※スコア≦1点の患者の割合
※直腸からS状結腸にかけての病変部位を観察

寛解率【6週】[副次評価項⽬]

寛解率(以下の3つの条件を満たす患者の割合:血便スコア=0点、内視鏡所見スコア≦1点、排便回数スコア=0点あるいは、0週より1点以上減少)は、プラセボ群16.1%、レクタブル®群40.6%であった。
chart04_1000-655_202506
  プラセボ群 レクタブル®
寛解率(%)〔95%信頼区間〕 16.1〔9.0, 27.2〕 40.6〔29.5, 52.9〕
プラセボ群との差の点推定値〔95%信頼区間〕 24.5〔8.8, 38.6〕
寛解率: 以下の3つの条件を満たす患者の割合
血便スコア=0点、内視鏡所見※スコア≦1点、排便回数スコア=0点あるいは、0週より1点以上減少
※直腸からS状結腸にかけての病変部位を観察

血便スコア=0点の患者の割合【2週、4週、6週】[副次評価項⽬]

血便スコア=0点の患者の割合は、2週でプラセボ群23.7%、レクタブル®群53.1%、4週でプラセボ群32.2%、レクタブル®群65.6%、6週でプラセボ群42.9%、レクタブル®群68.3%であった。
chart05_1000-710_202506
  2週 4週 6週
プラセボ群 レクタブル® プラセボ群 レクタブル® プラセボ群 レクタブル®
群間差の点推定値(%)
〔95%信頼区間〕
29.4〔12.2, 44.2〕 33.4〔15.5, 48.4〕 25.5〔7.4, 41.4〕

MMDAIスコア≦1点の患者の割合【6週】[副次評価項⽬]

MMDAIスコア≦1点の患者の割合は、プラセボ群4.8%、レクタブル®群34.4%であった。
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  プラセボ群 レクタブル®
MMDAIスコア≦1点の患者の割合(%)〔95%信頼区間〕 4.8〔1.7, 13.3〕 34.4〔23.9, 46.6〕
プラセボ群との差の点推定値〔95%信頼区間〕 29.5〔16.1, 42.2〕

受容性アンケート【6週】[その他の評価項目]

「立位での投与方法」については、「とても簡単」から「どちらともいえない」が89%、「投与後の薬剤の漏れ」については、「全く無かった」から「少しあった」が98%であった。
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安全性

レクタブル®群の6週における血漿コルチゾール濃度は6.82μg/dLであり、後観察で13.28μg/dLであった。

血漿コルチゾール濃度の推移

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※後観察(6週投与終了後14~27日に実施)は6週投与で投与を終了した患者のデータである。

血漿コルチゾール濃度(μg/dL):

  評価時点 0週 6週 6週投与例 後観察
平均値±標準偏差
(対象症例数)
プラセボ群 13.07±4.94(62) 12.62±3.67(51) 12.25±5.04(30)
レクタブル® 12.97±4.02(64) 6.82±6.08(59) 13.28±4.41(36)

副作用【6週】1)

本試験において、プラセボ群62例中6例(9.7%)、レクタブル®群64例中11例(17.2%)に副作用が認められた。主な副作用は、プラセボ群では高血圧1例(1.6%)、レクタブル®群では高血圧3例(4.7%)であった。
本試験においていずれの群にも死亡を含む重篤な副作用は認められなかった。投与中止に至った副作用は、プラセボ群1例(炎症)、レクタブル®群3例(高血圧、末梢性浮腫、性器出血各1例)であった。
  プラセボ群 レクタブル®
対象症例数 62 64
発現症例数(%) 6(9.7) 11(17.2)
感染症及び寄生虫症 1(1.6)  
 鼻咽頭炎 1(1.6)  
代謝及び栄養障害 2(3.2)  
 高尿酸血症 1(1.6)  
 高アミラーゼ血症 1(1.6)  
精神障害   1(1.6)
 不眠症   1(1.6)
血管障害 1(1.6) 3(4.7)
 高血圧 1(1.6) 3(4.7)
胃腸障害   3(4.7)
 痔核   1(1.6)
 便秘   1(1.6)
 肛門そう痒症   1(1.6)
生殖系及び乳房障害   1(1.6)
 性器出血   1(1.6)
一般・全身障害及び投与部位の状態 1(1.6) 1(1.6)
 末梢性浮腫み   1(1.6)
 炎症 1(1.6)  
臨床検査 2(3.2) 2(3.1)
 血中クレアチンホスホキナーゼ増加   1(1.6)
 血中乳酸脱水素酵素増加   1(1.6)
 白血球数減少 1(1.6)  
 白血球数増加 1(1.6)  
例数(%)
副作用の分類名、副作用名はMedDRA/J(ver17.1)の器官別大分類、基本語を用いて表示。
1)レクタブル®2mg注腸フォーム14回 医薬品インタビューフォーム 2022年11月改訂(第7版)

副作用【継続投与(累計最大12週まで)】

6週間投与にて治療反応が認められたが粘膜治癒には至らなかった患者を対象に、さらに6週間継続投与したとき、プラセボ群19例中2例(10.5%)、レクタブル®群20例中3例(15.0%)に副作用が認められた。その内訳は、プラセボ群で胃潰瘍及び湿疹、白血球数減少が各1例(5.3%)、レクタブル®群で痔核、血中乳酸脱水素酵素増加、血中尿酸増加が各1例(5.0%)であった。
本試験においていずれの群においても、死亡を含む重篤な副作用、投与中止に至った副作用は認められなかった。
注意: 6週投与例、継続投与例のいずれにおいても、国内第Ⅲ相試験では、盲検性を維持するため、開鍵まで血漿コルチゾール濃度及び血漿コルチコトロピン濃度の測定結果を治験担当医師に開示しなかった。
このため、これらの変動については有害事象の評価対象外とした。なお、下記の副作用一覧の集計には、以下の基準に該当する場合を副作用として取り扱った。(国内第Ⅱ相試験において、治験担当医師が有害事象と判断しなかった症例について、以下の基準に該当する場合を副作用として取り扱った。)
血漿コルチゾール濃度及び血漿コルチコトロピン濃度を副作用として取り扱う基準
時期 投与前   投与後
副作用として取り扱う検査値変動のパターン 基準値下限以上 基準値下限未満
基準値下限未満 投与前値の80%未満

7. 用法及び用量に関連する注意 本剤投与中は患者の病態を十分観察し、投与開始6週間を目安に本剤の必要性を検討し、漫然と投与を継続しないこと。[17.1.1 参照]

副作用一覧1)

一部承認外の用法及び用量の成績が含まれるデータですが、安全性情報であるため紹介します。

承認時までの国内臨床試験(第Ⅱ相試験並びに第Ⅲ相試験の集計結果を併合)では175例中95例(54.3%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められている。主な副作用は血中コルチゾール減少72例(41.1%)、血中コルチコトロピン減少62例(35.4%)であった。
  レクタブル®1日1回群 レクタブル®1日2回群 合計
対象症例数 55 120 175
副作用発現症例数(%) 22 (40.0) 73 (60.8) 95 (54.3)
感染症および寄生虫症 1 (1.8) 2 (1.7) 3 (1.7)
 肛門カンジダ症   1 (0.8) 1 (0.6)
 咽頭炎   1 (0.8) 1 (0.6)
 大腸菌感染 1 (1.8)   1 (0.6)
精神障害   1 (0.8) 1 (1.6)
 不眠症   1 (0.8) 1 (0.6)
神経系障害 1 (1.8) 2 (1.7) 3 (1.7)
 頭痛   1 (0.8) 1 (0.6)
 失神寸前の状態   1 (0.8) 1 (0.6)
 浮動性めまい 1 (1.8)   1 (0.6)
血管障害   3 (2.5) 3 (1.7)
 高血圧   3 (2.5) 3 (1.7)
胃腸障害 1 (1.8) 4 (3.3) 5 (2.9)
 便秘   1 (0.8) 1 (0.6)
 胃潰瘍   1 (0.8) 1 (0.6)
 痔核   1 (0.8) 1 (0.6)
 肛門そう痒症   1 (0.8) 1 (0.6)
 腹部不快感 1 (1.8)   1 (0.6)
肝胆道系障害 1 (1.8) 1 (0.8) 2 (1.1)
 肝機能異常 1 (1.8) 1 (0.8) 2 (1.1)
皮膚および皮下組織障害   2 (1.7) 2 (1.1)
 ざ瘡   1 (0.8) 1 (0.6)
 湿疹   1 (0.8) 1 (0.6)
生殖系および乳房障害   1 (0.8) 1 (0.6)
 性器出血   1 (0.8) 1 (0.6)
一般・全身障害および投与局所様態   2 (1.7) 2 (1.1)
 倦怠感   1 (0.8) 1 (0.6)
 末梢性浮腫   1 (0.8) 1 (0.6)
臨床検査 21 (38.2) 63 (52.5) 84 (48.0)
 血中コルチゾール減少 13 (23.6) 59 (49.2) 72 (41.1)
 血中コルチコトロピン減少 16 (29.1) 46 (38.3) 62 (35.4)
 血中乳酸脱水素酵素増加   2 (1.7) 2 (1.1)
 アラニンアミノトランスフェラーゼ増加   1 (0.8) 1 (0.6)
 アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加   1 (0.8) 1 (0.6)
 血中クレアチンホスホキナーゼ増加 1 (1.8) 1 (0.8) 2 (1.1)
 血圧上昇   1 (0.8) 1 (0.6)
 血中トリグリセリド増加 1 (1.8) 1 (0.8) 2 (1.1)
 血中尿酸増加   1 (0.8) 1 (0.6)
 白血球数異常   1 (0.8) 1 (0.6)
 血中コレステロール増加 1 (1.8)   1 (0.6)
 肝機能検査異常 1 (1.8)   1 (0.6)
傷害、中毒および処置合併症   1 (0.8) 1 (0.6)
 直腸損傷   1 (0.8) 1 (0.6)
例数(%)
副作用の分類名、副作用名はMedDRA/J(ver19.0)の器官別大分類、基本語を用いて表示。
1)レクタブル®2mg注腸フォーム14回 医薬品インタビューフォーム 2022年11月改訂(第7版)

2025年7月作成

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