【記事版】潰瘍性大腸炎におけるレクタブル®の便意切迫に対する治療有効性データ[QUIET試験]

潰瘍性大腸炎におけるレクタブル®の便意切迫に対する治療有効性データ[QUIET試験]

出典:Kobayashi T, et al. Intest Res, Published online Jul 15, 2024(DOI: https://doi.org/10.5217/ir.2024.00005)

COI:本試験は、EAファーマ株式会社及びキッセイ薬品工業株式会社の資金提供により実施された。
また、本論文の著者に、EAファーマ株式会社、キッセイ薬品工業株式会社より資金提供を受けている者、EAファーマ株式会社の社員及びキッセイ薬品工業株式会社の社員が含まれる。

【監修】北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センター センター長 小林 拓 先生
このページでは、下記2つの臨床試験の結果をご紹介いたします。
◆ 試験① 国内第Ⅲ相試験(簡易版)
◆ 試験② 潰瘍性大腸炎におけるレクタブル®の便意切迫に対する治療有効性データ[QUIET試験]

【監修】北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センター センター長 小林 拓 先生

「禁忌を含む注意事項等情報」等はDrug Informationをご参照ください。

試験① 国内第Ⅲ相試験(簡易版)

社内資料:国内第Ⅲ相試験(承認時評価資料)/Naganuma M., et al. : J Gastroenterol. 53(4), 494, 2018
COI:当研究はEAファーマ株式会社の支援にて行われた。

試験概要

目的 プラセボを対照とした二重盲検比較試験によりレクタブル®2mg(ブデソニドとして)を1日2回6週間直腸内投与した際の粘膜治癒率を主要評価項目として、レクタブル®のプラセボに対する優越性を検証するとともに安全性を検討する。また、6週間投与にて治療反応が認められたが粘膜治癒には至らなかった患者を対象に、レクタブル®をさらに6週間継続投与した際の安全性及び有効性を検討する。
試験デザイン プラセボ対照無作為化二重盲検多施設共同並行群間比較試験
対象 軽症から中等症の活動期潰瘍性大腸炎患者126例(レクタブル®群64例、プラセボ群62例)、そのうち継続投与した患者39例(レクタブル®群20例、プラセボ群19例)
投与方法 レクタブル®1日2回(ブデソニドとして4mg/日)又はプラセボ1日2回を、朝と夜なるべく排便後に直腸内投与した。投与期間は6週間、継続投与期間は6週間(累計投与期間は最大でも12週間まで)とした。
評価項目 【有効性の主要評価項目:検証的な解析項目】
粘膜治癒率【6週】(内視鏡所見※1スコア=0点の患者の割合)
【有効性の副次評価項目】
病型別 粘膜治癒率【6週】(主要評価項目のサブグループ解析)
[安全性]
副作用
注意:6週投与例、継続投与例のいずれにおいても、国内第Ⅲ相試験では、盲検性を維持するため、開鍵まで血漿コルチゾール濃度及び血漿コルチコトロピン濃度の測定結果を治験担当医師に開示しなかった。このため、これらの変動については有害事象の評価対象外とした。
解析計画 主解析として、粘膜治癒率【6週】について、投与群ごとに点推定値及び95%信頼区間を求め、レクタブル®群とプラセボ群の対比を、下記の割付因子を共変量としたロジスティック回帰モデルで設定し、優越性の検定を行った。有意差は尤度比検定を用いた。
  • 現在の活動期の治療における局所製剤の使用有無(無し、有り)
  • 本登録日の排便スコア、血便スコア、内視鏡所見スコアの合計(4以下、5以上)
  • 原疾患の病変部位による分類(直腸及びS状結腸に限局、S状結腸を超えて口側に伸展)
粘膜治癒率については、病変の拡がりによる分類(病型別:直腸炎型、左側大腸炎型、全大腸炎型)、メサラジン注腸、メサラジン坐剤、サラゾスルファピリジン坐剤使用状況別、経口メサラジン、経口サラゾスルファピリジン用量別などを層別因子としたサブグループ解析を行うこととした。有意差はχ2検定を用いた。副次評価項目である粘膜寛解率【6週】、寛解率【6週】及びMMDAIスコア≦1点の患者の割合【6週】については、投与群ごとに各割合の点推定値及び95%信頼区間を求めた。血便スコア=0点の患者の割合は、投与群ごとに各割合の点推定値を日毎に求めた。継続投与に移行した症例については、血便スコア0点を満たす患者の割合、MMDAIの各サブスコアの推移などについて別途解析を実施した。受容性アンケートはアンケート項目ごとに回答別の頻度とその割合を算出した。有害事象はMedDRAを用いて読み替え、器官別大分類(SOC)及び基本語(PT)ごとに治験薬との因果関係別の発現例数及び発現率を投与群別に集計した。

6. 用法及び用量 通常、成人には1回あたり1プッシュ(ブデソニドとして2mg)、1日2回直腸内に噴射する。

有効性

粘膜治癒率6週(検証的解析結果)[主要評価項目]

内視鏡所見スコアを基にした粘膜治癒率において、プラセボに対する優越性が検証された。
粘膜治癒率6週(検証的解析結果)[主要評価項目]を示すグラフ
  プラセボ群 レクタブル®
粘膜治癒率(%)[95%信頼区間] 3.2〔0.9, 11.0〕 32.8〔22.6, 45.0〕
オッズ比[95%信頼区間] 17.2〔4.5, 114.4〕
※粘膜治癒率:内視鏡所見スコア=0点の患者の割合
粘膜治癒率(%)=(粘膜治癒した被験者数÷総被験者数)×100
Naganuma M., et al. : J Gastroenterol, 53(4), 494, 2018

病型別 粘膜治癒率6週(主要評価項目のサブグループ解析)[副次評価項目]

病型別における粘膜治癒率は、以下のとおりであった。

病型別 粘膜治癒率【6週】副次評価項目(主要評価項目のサブグループ解析)

5. 効能又は効果に関連する注意 本剤が腸内で到達する範囲は概ねS状結腸部までであり、直腸部及びS状結腸部の病変に対して使用すること。[16.8.2 参照]
7. 用法及び用量に関連する注意 本剤投与中は患者の病態を十分観察し、投与開始6週間を目安に本剤の必要性を検討し、漫然と投与を継続しないこと。[17.1.1 参照]

社内資料:国内第Ⅲ相試験(承認時評価資料)
Naganuma M., et al. : J Gastroenterol, 53(4), 494, 2018より作図

病型別 粘膜治癒率【6週】(主要評価項目のサブグループ解析)[副次評価項目]

病型別における粘膜治癒率は、以下のとおりであった。
主要評価項目である粘膜治癒率の部分集団における結果【6週】を示すグラフ
  直腸炎型 左側大腸炎型 全大腸炎型
プラセボ群 レクタブル® プラセボ群 レクタブル® プラセボ群 レクタブル®
群間差の点推定値(%)
〔95%信頼区間〕
31.8〔10.8, 52.7〕 29.6〔10.1, 47.7〕 27.3〔-19.6, 56.6〕
社内資料:国内第Ⅲ相試験(承認時評価資料)
Naganuma M., et al. : J Gastroenterol, 53(4), 494, 2018より作図

5. 効能又は効果に関連する注意 本剤が腸内で到達する範囲は概ねS状結腸部までであり、直腸部及びS状結腸部の病変に対して使用すること。[16.8.2 参照]
7. 用法及び用量に関連する注意 本剤投与中は患者の病態を十分観察し、投与開始6週間を目安に本剤の必要性を検討し、漫然と投与を継続しないこと。[17.1.1 参照]

安全性

本試験において、プラセボ群62例中6例(9.7%)、レクタブル®群64例中11例(17.2%)に副作用が認められた。主な副作用は、プラセボ群では高血圧1例(1.6%)、レクタブル®群では高血圧3例(4.7%)であった。
本試験においていずれの群にも死亡を含む重篤な副作用は認められなかった。投与中止に至った副作用は、プラセボ群1例(炎症)、レクタブル®群3例(高血圧、末梢性浮腫、性器出血各1例)であった。

●安全性情報については最新の電子添文をご参照ください

試験② 潰瘍性大腸炎におけるレクタブル®の便意切迫に対する治療有効性データ[QUIET試験]

※レクタブル®の効能又は効果は「潰瘍性大腸炎(重症を除く)」です。
出典:Kobayashi T, et al. Intest Res, Published online Jul 15, 2024(DOI: https://doi.org/10.5217/ir.2024.00005)
COI:本試験は、EAファーマ株式会社及びキッセイ薬品工業株式会社の資金提供により実施された。
また、本論文の著者に、EAファーマ株式会社、キッセイ薬品工業株式会社より資金提供を受けている者、EAファーマ株式会社の社員及びキッセイ薬品工業株式会社の社員が含まれる。

試験概要

目的 本研究の目的は、炎症性腸疾患質問票(IBDQ)を用いてQOL改善におけるブデソニド注腸フォーム剤の有効性を調査するために、潰瘍性大腸炎患者に対し、1日2回のブデソニド注腸フォーム剤による臨床症状(便意切迫)の改善、治療効果と安全性を調査した。
試験デザイン 日本の7施設で実施された非盲検多施設前向き観察研究。
対象 2020年10月から2022年5月の期間で便意切迫の症状を有する活動期潰瘍性大腸炎患者61名。
参加施設 北里大学北里研究所病院、奈良県立医科大学、東京医科歯科大学、滋賀医科大学、東邦大学医療センター佐倉病院、福岡大学筑紫病院、大阪大学
有効性評価 【主要評価項目】投与4週間後の便意切迫の消失率
【副次評価項目】IBDQの合計スコアとサブスケール毎のベースラインからの変化量[サブグループ解析]
病型別の便意切迫の消失率[サブグループ解析]
レクタブル®治療経験有無別の便意切迫の消失率[サブグループ解析]
便意切迫の有病率[Daily]
便失禁の有病率[Daily]
安全性評価 有害事象共通用語基準バージョン5.0に従って分類された有害事象および副作用を評価。
解析計画 解析対象集団は、全対象患者、服薬コンプライアンス集団(コンプライアンス50%以上)、研究を完了した患者集団、および安全性解析集団であった。統計的尺度は症例数、平均値(標準偏差)、中央値、四分位数(Q1~Q3)、最小値~最大値を算出し、主要評価項目(便意切迫消失率:95%信頼区間)および副次評価項目を評価した。IBDQ合計スコアの変化量および便意切迫の消失率(治療経験有無別・病型別)[サブグループ解析]のいずれもWilcoxon検定により有意差を求めた。また、便意切迫および便失禁の有病率[副次評価項目]の有意差はMcNemar’s検定を用いた。安全性は、ブデソニド注腸フォーム剤治療患者について有害事象および副作用の発生により評価した。統計分析にはSASバージョン9.4(SAS Institute Inc、ノースカロライナ州ケアリー)を使用した。
Limitation シングルアームの前後比較試験且つサンプル数が少ない事である。
検証的な解析以外で得られたp値を名目上のp値とした。

患者背景

N[%]
  N=61
性別  
男性 29[47.5]
女性 32[52.5]
年齢(歳)  
中央値(Q1-Q3) 41.0(30.0-54.0)
身長(cm)  
中央値(Q1-Q3) 165.0(158.5-172.0)
体重(kg)  
中央値(Q1-Q3) 59.0(51.0-67.0)
部分的Mayoスコア  
中央値(Q1-Q3) 5.0(4.0-6.0)
喫煙習慣  
なし 56[91.8]
あり 5[8.2]
罹病期間  
12週未満 3[4.9]
12週以上1年未満 8[13.1]
1年以上5年未満 15[24.6]
5年以上 35[57.4]
初発と再発(活動期)  
初発 6[9.8]
再発 55[90.2]
前治療薬(観察開始前8週以内)  
5-ASA注腸製剤  
なし 52[85.2]
あり 9[14.8]
5-ASA坐剤  
なし 57[93.4]
あり 4[6.6]
5-ASA経口製剤  
なし 5[8.2]
<3600mg/日 10[16.4]
≥3600, <4800mg/日 17[27.9]
4800mg/日 29[47.5]
免疫抑制剤  
なし 56[91.8]
あり 5[8.2]
病型  
直腸炎型 7[11.5]
左側大腸炎型 26[42.6]
全大腸炎型 28[45.9]
重症度  
軽度 17[27.9]
中等度 44[72.1]
重症 0[0.0]
炎症部位  
直腸のみ 11[18.0]
S状結腸まで 25[41.0]
下行結腸まで 6[9.8]
下行結腸から口側 10[16.4]
不明 9[14.8]
1日あたりの排便回数(通常時)  
中央値(Q1-Q3) 1.5(1.0-2.0)
ブデソニド注腸フォーム投与歴  
なし 46[75.4]
あり 15[24.6]

5-ASA:5-アミノサリチル酸  Q:四分位数

※試験開始前1年以内に大腸内視鏡検査で評価された炎症の程度を示す。
Kobayashi T, et al. Intest Res, Published online Jul 15, 2024

●各薬剤の使用にあたっては電子添文を確認ください。

有効性

投与4週間後の便意切迫の消失率[主要評価項目]

レクタブル®による便意切迫の消失率は58.5%でした。
投与4週間後の便意切迫の消失率[主要評価項目]を示すグラフ
Kobayashi T, et al. Intest Res, Published online Jul 15, 2024より作図

病型別の便意切迫の消失率(サブグループ解析)[副次評価項目]

便意切迫の消失率は全大腸炎型で53.6%、その他の病型で48.5%でした。
病型別の便意切迫の消失率(サブグループ解析)[副次評価項目]を示すグラフ
Kobayashi T, et al. Intest Res, Published online Jul 15, 2024より作図

レクタブル®治療経験有無別の便意切迫の消失率(サブグループ解析)[副次評価項目]

便意切迫の消失率はレクタブル®の治療経験ありで46.7%、治療経験なしで52.2%でした。
レクタブル®治療経験有無別の便意切迫の消失率(サブグループ解析)[副次評価項目]を示すグラフ
Kobayashi T, et al. Intest Res, Published online Jul 15, 2024より作図

便意切迫の有病率(Daily)[副次評価項目]

レクタブル®投与、7日目に便意切迫の有病率が有意に低下しました。
p<0.05, 名目上のp値(McNemar’s検定)
便意切迫の有病率(Daily)[副次評価項目]を示すグラフ
Kobayashi T, et al. Intest Res, Published online Jul 15, 2024より作図

便失禁の有病率(Daily)[副次評価項目]

レクタブル®投与、12日目に便失禁の有病率が有意に低下しました。
p<0.05, 名目上のp値(McNemar’s検定)
便失禁の有病率[Daily](副次評価項目)を示すグラフ
Kobayashi T, et al. Intest Res, Published online Jul 15, 2024より作図

参考情報
IBDQの合計スコアの変化量(サブグループ解析)[副次評価項目]

レクタブル®治療により便意切迫が消失した群ではIBDQの合計スコアが有意に高かった。
(p=0.006, 名目上のp値, Wilcoxon検定)
IBDQの合計スコアの変化量[サブグループ解析](副次評価項目)を示すグラフ
Kobayashi T, et al. Intest Res, Published online Jul 15, 2024より作図

安全性

有害事象は潰瘍性大腸炎の悪化1例(1.6%[1/61例])であった。本試験において死亡を含む重篤な副作用、投与中止にいたった副作用は認められなかった。

レクタブル®の安全性情報については最新の電子添文をご参照ください

2025年7月作成

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