モビプレップ®を用いた腸管前処置後の、大腸内視鏡検査時における腸管内気泡の解析

「モビプレップ®」及び「MOVIPREP®」はNorgineグループの登録商標です。
【監修】京都府立医科大学 消化器内科 講師 吉田 直久 先生
このページでは、下記2つの臨床試験の結果をご紹介いたします。
◆ 試験① 国内第Ⅲ相臨床試験
◆ 試験② モビプレップ®を用いた腸管前処置後の大腸内視鏡検査時における腸管内気泡の解析

「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等は、Drug Informationをご参照ください。

国内第Ⅲ相臨床試験1)2)

1)EAファーマ株式会社:社内資料(国内第Ⅲ相臨床試験)〈承認時評価資料〉
2)上野文昭 ほか 新薬と臨牀 65:681-695:2016 国内第Ⅲ相臨床試験 当研究は開発会社である味の素製薬株式会社(現、EAファーマ株式会社)の支援により行われた。筆者に同社社員が含まれる。

試験概要

試験デザイン 無作為化非盲検多施設共同並行群間比較試験
目的 モビプレップ®とニフレック®との比較検討を行い、大腸内視鏡検査前処置薬としての有効性と安全性を検討する。
対象 20歳以上の大腸内視鏡検査を受ける予定の437例
FAS(安全性解析対象集団および最大の解析対象集団):437例(モビプレップ®群:218例、ニフレック®群:219例)
投与方法 大腸内視鏡検査前日まで一切の処置は行わず、検査前日は通常の食事を午後9時までに終了した。夕食後は大腸内視鏡検査終了まで絶食で、水およびお茶の摂取のみを可とした。投与液および水の服用の速さは、1時間当たり1Lを目安とした。
モビプレップ®群:大腸内視鏡検査予定時刻の3時間以上前に、2期に分けて溶解液の服用を開始した。第1服用期に続けて、第2服用期の服用を行い、第1服用期、第2服用期ともに、溶解液を1L服用し、その後、水0.5Lを飲用した。ただし、溶解液の服用中に排泄液が透明になった場合は、溶解液の服用を終了し、溶解液の服用量の半量の水を飲用した。
ニフレック®群:大腸内視鏡検査開始予定時刻の4時間以上前に、溶解液の服用を開始した。服用量は2~4Lとし、服用中に排泄液が透明になった場合は、その時点で溶解液の服用を終了した。
試験スケジュールを示す図
評価項目 1.有効性の主要評価項目(検証的解析項目)
腸管洗浄効果
2.有効性の副次評価項目
中央判定委員会の評価による腸管洗浄度(大腸部位ごと)、大腸内視鏡検査実施医の評価による腸管洗浄度(大腸部位ごと)、治験薬の服用量、洗浄時間
3.安全性の評価頂目
副作用(臨床検査値の異常変動を含む)
評価方法
(主解析)
画像評価
「中央判定委員会の評価による腸管洗浄度」に基づいて5段階で評価し、大腸5部位(直腸、S状結腸、下行結腸、横行結腸、上行結腸・盲腸)の評価が「1」または「2」のみであった患者を「有効」、それ以外は「無効」として評価した。
内視鏡画像5段階評価を示す画像
(解析計画) 統計解析
モビプレップ®群とニフレック®群の腸管洗浄効果の有効率および有効率の差(モビプレップ®群の有効率-ニフレック®群の有効率)の両側95%信頼区間を算出した。両側95%信頼区間下限値が、-Δ(-10%)を上回っていた場合、非劣性が検証されたとした。
非劣性の検証が成立した場合、更に優越性の検証を行い、腸管洗浄効果の有効率の差(モビプレップ®群の有効率-ニフレック®群の有効率)の両側95%信頼区間下限値が0%を超えていれば、優越性が検証されたと判断する。
※全ての検定の有意水準は両側5%、信頼区間の信頼係数は95%とする。
●検証的な解析以外で得られたp値を名目上のp値とした。

ニフレック®の使用にあたっては、電子添文をご確認ください。

腸管洗浄効果〈有効性・主要評価項目・検証的解析項目〉

腸管洗浄効果の有効率は、モビプレップ®群98.6%(215/218例)、ニフレック®群96.8%(212/219例)であった。有効率の差(モビプレップ®群-ニフレック®群)は1.8%、両側95%信頼区間は-1.25~5.20%であり、両側95%信頼区間下限値が-10%(第Ⅲ相試験の事前情報を得るために必要な95%信頼区間を母数±10%程度と判断した)を上回っていたことから、ニフレック®群に対する非劣性が検証された(検証的解析結果)。
腸管洗浄効果(非劣性試験・FAS)
腸管洗浄効果(非劣性試験・FAS)を示すグラフ
モビプレップ®群とニフレック®群の差の比較:2検査前処置薬の有効率の差の95%信頼区間
モビプレップ®群とニフレック®群の差の比較:2検査前処置薬の有効率の差の95%信頼区間を示す表
上野文昭 ほか 新薬と臨牀 65:681-695:2016 より作図

6. 用法及び用量(抜粋)
本剤1袋を水に溶解して約2Lの溶解液とする。
通常、成人には溶解液を1時間あたり約1Lの速度で経口投与する。溶解液を約1L投与した後、水又はお茶を約0.5L飲用する。ただし、排泄液が透明になった時点で投与を終了し、投与した溶解液量の半量の水又はお茶を飲用する。排泄液が透明になっていない場合には、残りの溶解液を排泄液が透明になるまで投与し、その後、追加投与した溶解液量の半量の水又はお茶を飲用する。なお、本剤1袋(溶解液として2L)を超える投与は行わない。
9. 特定の背景を有する患者に関する注意(抜粋)
9.8 高齢者
9.8.1 投与速度を遅くし、水分補給を積極的に行うなど、十分観察しながら投与すること。一般に高齢者では、生理機能が低下していることが多い。[7.4、9.1.5 参照]
9.8.2 腸管穿孔、腸閉塞を起こした場合は、より重篤な転帰をたどることがある。[8.1、11.1.2 参照]

大腸部位ごとの腸管洗浄度〈有効性・副次評価項目〉

1. 中央判定委員会による評価
腸管洗浄度の評価「1」は、直腸でモビプレップ®群88.1%、ニフレック®群88.1%、S状結腸でモビプレップ®群88.5%、ニフレック®群80.4%、下行結腸でモビプレップ®群80.7%、ニフレック®群75.3%、横行結腸でモビプレップ®群85.3%、ニフレック®群82.2%、上行結腸・盲腸でモビプレップ®群61.5%、ニフレック®群62.6%であった。
Wilcoxonの順位和検定を用いた投与群間比較で、S状結腸ではモビプレップ®群の方が有意に良好であった(p=0.0461、名目上のp値)。他の部位では群間に有意差は認められなかった(p>0.05、名目上のp値)。
中央判定委員会の評価による腸管洗浄度(FAS)
中央判定委員会の評価による腸管洗浄度(FAS)を示すグラフ
上野文昭 ほか 新薬と臨牀 65:681-695:2016 より作図
2. 大腸内視鏡検査実施医評価
腸管洗浄度の評価「1」は、直腸でモビプレップ®群91.3%、ニフレック®群89.5%、S状結腸でモビプレップ®群90.8%、ニフレック®群86.3%、下行結腸でモビプレップ®群92.2%、ニフレック®群85.8%、横行結腸でモビプレップ®群88.5%、ニフレック®群85.4%、上行結腸・盲腸でモビプレップ®群69.3%、ニフレック®群69.9%であった。
Wilcoxonの順位和検定を用いた投与群間比較で、群間に有意差は認められなかった(p>0.05、名目上のp値)
大腸内視鏡検査実施医の評価による腸管洗浄度(FAS)
大腸内視鏡検査実施医の評価による腸管洗浄度(FAS)を示すグラフ
審査報告書より作図

6. 用法及び用量(抜粋)
本剤1袋を水に溶解して約2Lの溶解液とする。
通常、成人には溶解液を1時間あたり約1Lの速度で経口投与する。溶解液を約1L投与した後、水又はお茶を約0.5L飲用する。ただし、排泄液が透明になった時点で投与を終了し、投与した溶解液量の半量の水又はお茶を飲用する。排泄液が透明になっていない場合には、残りの溶解液を排泄液が透明になるまで投与し、その後、追加投与した溶解液量の半量の水又はお茶を飲用する。なお、本剤1袋(溶解液として2L)を超える投与は行わない。
9. 特定の背景を有する患者に関する注意(抜粋)
9.8 高齢者
9.8.1 投与速度を遅くし、水分補給を積極的に行うなど、十分観察しながら投与すること。一般に高齢者では、生理機能が低下していることが多い。[7.4、9.1.5 参照]
9.8.2 腸管穿孔、腸閉塞を起こした場合は、より重篤な転帰をたどることがある。[8.1、11.1.2 参照]

服用量〈有効性・副次評価項目〉

モビプレップ®群の服用量は1.63±0.38L、服用終了後の水分飲用量は0.81±0.19Lでした。ニフレック®群の服用量は2.62±0.66Lであった。
モビプレップ®・ニフレック®の服用量およびモビプレップ®服用終了後の水分飲用量(FAS)
モビプレップ®・ニフレック®の服用量およびモビプレップ®服用終了後の水分飲用量(FAS)を示すグラフ
上野文昭 ほか 新薬と臨牀 65:681-695:2016より作図

洗浄時間〈有効性・副次評価項目〉

洗浄時間は、モビプレップ®群2.67±0.84時間、ニフレック®群3.19±1.02時間であり、モビプレップ®群の方が有意に短いことが示された(p<0.0001、名目上のp値、Wilcoxonの順位和検定)。
洗浄時間(FAS)
洗浄時間(FAS)を示すグラフ
上野文昭 ほか 新薬と臨牀 65:681-695:2016

副作用(臨床検査値の異常変動を含む)

国内第Ⅲ相臨床試験において、モビプレップ®群の安全性評価対象症例218例中24例(11.0%)、ニフレック®群の安全性評価対象症例219例中29例(13.2%)に副作用(臨床検査値の異常変動を含む)が認められた。
主なものは、モビプレップ®群でアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加6例(2.8%)、尿中蛋白陽性5例(2.3%)、悪心4例(1.8%)、アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加3例(1.4%)、嘔吐2例(0.9%)でした。ニフレック®群では悪心8例(3.7%)、嘔吐7例(3.2%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加5例(2.3%)、腹部膨満3例(1.4%)、悪寒2例(0.9%)、白血球数増加2例(0.9%)であった。
重篤な副作用としてニフレック®群に亜イレウスが1例認められた。投与中止にいたった副作用はモビプレップ®群に嘔吐が1例、ニフレック®群に嘔吐が3例、悪心が2例、亜イレウスが1例報告された。
両群とも本試験において死亡にいたる副作用はなかった。

6. 用法及び用量(抜粋)
本剤1袋を水に溶解して約2Lの溶解液とする。
通常、成人には溶解液を1時間あたり約1Lの速度で経口投与する。溶解液を約1L投与した後、水又はお茶を約0.5L飲用する。ただし、排泄液が透明になった時点で投与を終了し、投与した溶解液量の半量の水又はお茶を飲用する。排泄液が透明になっていない場合には、残りの溶解液を排泄液が透明になるまで投与し、その後、追加投与した溶解液量の半量の水又はお茶を飲用する。なお、本剤1袋(溶解液として2L)を超える投与は行わない。
9. 特定の背景を有する患者に関する注意(抜粋)
9.8 高齢者
9.8.1 投与速度を遅くし、水分補給を積極的に行うなど、十分観察しながら投与すること。一般に高齢者では、生理機能が低下していることが多い。[7.4、9.1.5 参照]
9.8.2 腸管穿孔、腸閉塞を起こした場合は、より重篤な転帰をたどることがある。[8.1、11.1.2 参照]

モビプレップ®を用いた腸管前処置後の、大腸内視鏡検査時における腸管内気泡の解析

「モビプレップ®」及び「MOVIPREP®」はNorgineグループの登録商標です。
【監修】京都府立医科大学 消化器内科 講師 吉田 直久 先生

試験概要

目的 経口硫酸塩溶液とモビプレップ®を用いた際の大腸内視鏡検査時における腸管内の気泡の状態を解析すること。
対象・方法 京都府立医科大学及び西陣病院(京都府)にて、2024年6~9月の間にスクリーニング、サーベイランス、有症状のため、大腸内視鏡検査を受けた20歳以上の受検者162例(平均年齢±SD:69.2±11.8歳)を対象とした。受検者を、前処置に経口硫酸塩溶液を用いた45例(経口硫酸塩溶液群)、およびモビプレップ®を用いた117例(モビプレップ®群)に分け、大腸内視鏡検査時の腸管内気泡を気泡スコア(BBS-C)により後ろ向きに評価、比較した。
※気泡スコア(BBS-C:Bowel Bubble Score of Colonoscopy)
気泡スコアを示す画像吉田直久先生ご提供
〈前処置の概要〉
経口硫酸塩溶液、あるいはモビプレップ®のいずれを用いるかは、医師が決定した。ただし、受検者の好み、モビプレップ®に対する過敏症、過去にモビプレップ®による前処置が不良であった、などの特定の理由によりモビプレップ®が適切ではないと考えられる場合には優先的に経口硫酸塩溶液が用いられた。
受検者には大腸内視鏡検査前日に低残渣食を摂取させ、午後9時にピコスルファートナトリウム水和物10mLを服用させた。大腸内視鏡検査当日の朝、検査の4時間前に、経口硫酸塩溶液0.48L、あるいはモビプレップ®1.0Lを服用させた。前処置未達の場合は浣腸を1~2回実施した。
当研究ではジメチコンなどの経口消泡剤は用いなかった。
評価項目 主要評価項目:
近位大腸における気泡スコアの割合、および近位大腸に重度の気泡を生じるリスク因子の解析
副次評価項目:
  • 重度の気泡が大腸内視鏡検査結果(痛み、挿入時間、全手技時間、病変の検出)へ及ぼす影響
  • 傾向スコアマッチング後の経口硫酸塩溶液群とモビプレップ®群の腸管内気泡の比較
  • 部位(近位大腸、遠位大腸、小腸)ごとの気泡の解析[サブグループ解析]
    近位大腸:盲腸から横行結腸、遠位大腸:下行結腸から直腸
解析計画
  • カテゴリー変数、名義変数は例数及び%、連続変数についてはMean±SDを表記した。
  • 独立した2群間の比較にはMann-Whitney U検定を用いた。
  • カテゴリー変数の比較にはχ2検定を用いた。
  • 単変量、多変量ロジスティック回帰分析を重度の気泡のリスク因子解析に実施した。
  • 経口硫酸塩溶液群とモビプレップ®群間の背景因子の差を補正するために、ロジスティック回帰モデルを用いた傾向スコアマッチングを行った。
  • p<0.05を有意差ありとした。
Limitation
  • 単施設の後ろ向き観察研究であり、サンプルサイズが小さいため、検出力が十分でない可能性がある。
  • 傾向スコアマッチングを行ったが、経口硫酸水溶液群とモビプレップ®群との症例背景にバイアスがあった可能性が考えられる。
  • BBS-Cの評価は3名の内視鏡医が行ったが、主観的な評価であった。
●検証的な解析以外で得られたp値を名目上のp値とした。

結果

近位大腸における気泡スコア(BBS-C)の割合[主要評価項目]

受検者全体の近位大腸における気泡スコアの割合は、スコア0:50.0%、スコア1:14.2%、スコア2:19.8%、スコア3:16.0%であった。

近位大腸に重度の気泡を生じるリスク因子の解析[主要評価項目]

多変量ロジスティック回帰分析の結果、良好な前処置(アロンチックスケールスコア※1または2)が、近位大腸の重度の気泡と正の関連性があることが判明した(オッズ比:4.878、95%信頼区間1.33‒20.0、p=0.017、名目上のp値、多変量ロジスティック回帰分析)。
前処置液の種類(経口硫酸塩溶液およびモビプレップ®)と、近位大腸の重度の気泡との間に有意な関連は認められなかった(オッズ比:0.544、95%信頼区間 0.18-1.64、p=0.280、名目上のp値、多変量ロジスティック回帰分析)。
※アロンチックスケールスコア:大腸内視鏡検査時の腸管の洗浄度を5段階で評価するスケール。
スコア1:Excellent 少量の透明な便汁で95%以上の粘膜が観察可能 スコア2:Good 検査に支障がない程度の少量の便汁で90%以上の粘膜が観察可能 スコア3:Fair 少量の便が存在するものの吸引可能で、90%以上の粘膜が観察可能 スコア4:Poor 吸引不能な便が貯留しており,90%未満の粘膜しか観察できない スコア5:Inadequate 大量の便塊のため精密検査が不可能であり再検査必要。
日本消化器内視鏡学会 編著, 大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランスガイドライン . 日本消化器内視鏡学会雑誌 62: 1536, 2020より

重度の気泡が大腸内視鏡検査結果(痛み、挿入時間、全手技時間、病変の検出)へ及ぼす影響[副次評価項目]

BBS-Cスコア3の被験者群と同スコア0-2の被験者群において、腺腫、鋸歯状病変の検出率についての有意差は認められなかった(腺腫の検出率:p=0.997、鋸歯状病変の検出率:p=0.414、いずれも名目上のp値、χ2検定)。その他、痛み、挿入時間、全手技時間についてもBBS-Cスコア3の被験者群と同スコア0-2の被験者群との間に有意差は認められなかった(痛み:p=0.514、挿入時間:p=0.396、全手技時間:p=0.146、いずれも名目上のp値、χ2検定)

傾向スコアマッチング後の経口硫酸塩溶液群とモビプレップ®群の腸管内気泡の比較[副次評価項目]

経口硫酸塩溶液群とモビプレップ®群を年齢、性別、腸管洗浄度でマッチさせた後の近位大腸におけるBBS-Cスコア0、スコア1+2の割合について、両群間に有意差が認められた(スコア0:p=0.022、スコア1+2:p=0.017、いずれも名目上のp値、Mann-Whitney U検定)。一方、スコア3については両群間に有意差は認められなかった(p=0.470、名目上のp値、Mann-Whitney U検定)。遠位大腸においては、スコア0、スコア1+2、スコア3のいずれの割合についても両群間に有意差は認められなかった(スコア0:p=0.105、スコア1+2:p=0.071、スコア3:p=0.398、いずれも名目上のp値、Mann-Whitney U検定)。
良好な前処置(アロンチックスケールスコア1または2)の割合については、両群間に有意差は認められなかった(p=0.284、名目上のp値、Mann-Whitney U検定)。鋸歯状病変検出率については両群間に有意差が認められた(p=0.007、名目上のp値、Mann-Whitney U検定)。
  • 近位大腸の気泡スコアの割合[副次評価項目]

    近位大腸の気泡スコアの割合[副次評価項目]を示すグラフ
  • 遠位大腸の気泡スコアの割合[副次評価項目]

    遠位大腸の気泡スコアの割合[副次評価項目]を示すグラフ
Ahmad W, Yoshida N, et al.: Dig Dis Sci 2025 Table 4より作図
  • 良好な前処置(アロンチックスケールスコア1または2)の割合[副次評価項目]

    良好な前処置(アロンチックスケールスコア1または2)の割合[副次評価項目]を示すグラフ
  • 鋸歯状病変検出率[副次評価項目]
     

    鋸歯状病変検出率[副次評価項目]を示すグラフ
Ahmad W, Yoshida N, et al.: Dig Dis Sci 2025 Table 4より作図

部位(近位大腸、遠位大腸、小腸)ごとの気泡の解析[サブグループ解析]

良好な前処置(アロンチックスケールスコア1または2)の受検者の割合は、近位大腸のBBS-Cスコアが3の受検者88.5%(23/26例)、BBS-Cスコアが0~2の受検者64.0%(87/136例)であり、有意差が認められた(p=0.014、名目上のp値、Mann-Whiney U検定)。遠位大腸、小腸については、BBS-Cスコアが3の受検者と0~2の受検者との間に割合の差は認められなかった(遠位大腸:p=0.938、小腸:p=0.195、いずれも名目上のp値、Mann-Whitney U検定)。
また、前処置液の種類について、BBS-Cスコアが3の受検者と0~2の受検者の割合は、近位大腸、遠位大腸、小腸いずれの部位においても、経口硫酸塩溶液群とモビプレップ®群との間に有意差は認められなかった(近位大腸:p=0.288、遠位大腸:p=0.399、小腸:p=0.928、いずれも名目上のp値、Mann-Whitney U検定)。
小腸のBBS-Cスコアが3の受検者11例全員の近位大腸のBBS-Cスコアは、2あるいは3であった。小腸のBBS-Cスコアが2の受検者7例のうち5例が、近位大腸のBBS-Cスコアが2あるいは3であった。

安全性

当論文には安全性に関する記載はなかった。

モビプレップ®の安全性については、Drug Informationの安全性情報をご参照ください。

監修者コメント

当研究では、良好な前処置が近位大腸の重度の気泡のリスク因子として見出された(オッズ比:4.878、95%信頼区間1.33-20.0, p=0.017、名目上のp値、多変量ロジスティック回帰分析)。一方、前処置液の種類と、近位大腸の重度の気泡との間に関連は見られなかった。
さらに、小腸に重度の気泡が認められた受検者において近位大腸にも気泡が認められた。このことから近位大腸の気泡は、良好な前処置によって排便が促進され、同時に誘発された強い蠕動運動によって小腸で生じた気泡に由来するものである可能性が考えられた。また、大腸内視鏡検査のタイミングの遅延により、小腸の腸液を含む気泡が大腸に到達した可能性も考えられた。
腸管内腔の気泡は、大腸内視鏡検査の質に影響を及ぼす重要な因子である。今後、さらなる分析を行い、気泡と前処置のタイミング、気泡の予防法についてさらなる検討を行う必要がある。臨床的に内視鏡中の気泡はあまり問題とされないが、褪色調病変である鋸歯状病変などの指摘に影響する可能性もあるため、できる限り気泡のない状態での検査が望まれる。

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