潰瘍性大腸炎における便意切迫の治療意義とレクタブル®の有効性および安全性

*レクタブル®の効能又は効果は「潰瘍性大腸炎(重症を除く)」です。
この製品はDr.Falk Pharma社からのライセンスのもとに販売しています。
Wei ZH, et al.: J Inflamm Res. 2025 Oct 8; 18: 13897-13906.
Kobayashi T, et al.: Intest Res. 2025 Apr; 23(2): 157-169.
COI:本試験は、EAファーマ株式会社及びキッセイ薬品工業株式会社の資金提供により実施された。また、本論文の著者に、EAファーマ株式会社、キッセイ薬品工業株式会社より資金提供を受けている者、EAファーマ株式会社の社員及びキッセイ薬品工業株式会社の社員が含まれる。
このページでは、下記3つの臨床試験の結果をご紹介いたします。
◆ 試験① 国内第Ⅲ相試験(簡易版)
◆ 試験② 潰瘍性大腸炎における便意切迫は内視鏡的寛解下でも組織学的炎症と関連する(海外データ)
◆ 試験③ 潰瘍性大腸炎におけるレクタブル®の便意切迫に対する有効性および安全性データ[QUIET試験]

「禁忌を含む注意事項等情報」等はDrug Informationをご参照ください。

試験① 国内第Ⅲ相試験(簡易版)

社内資料:国内第Ⅲ相試験(承認時評価資料)
Naganuma M., et al. : J Gastroenterol, 53(4), 494, 2018 利益相反:当研究はEAファーマ株式会社の支援にて行われた。

試験概要

目的 プラセボを対照とした二重盲検比較試験によりレクタブル®2mg(ブデソニドとして)を1日2回6週間直腸内投与した際の粘膜治癒率を主要評価項目として、レクタブル®のプラセボに対する優越性を検証するとともに安全性を検討する。
また、6週間投与にて治療反応が認められたが粘膜治癒には至らなかった患者を対象に、レクタブル®をさらに6週間継続投与した際の安全性及び有効性を検討する。
試験デザイン プラセボ対照無作為化二重盲検多施設共同並行群間比較試験
対象 軽症から中等症の活動期潰瘍性大腸炎患者126例(レクタブル®群64例、プラセボ群62例)、そのうち継続投与した患者39例(レクタブル®群20例、プラセボ群19例)
投与方法 レクタブル®1日2回(ブデソニドとして4mg/日)又はプラセボ1日2回を、朝と夜なるべく排便後に直腸内投与した。
投与期間は6週間、継続投与期間は6週間(累計投与期間は最大でも12週間まで)とした。
評価項目 有効性の主要評価項目:(検証的解析項目)粘膜治癒率【6週】(内視鏡所見スコア=0点の患者の割合)
(サブグループ解析)粘膜治癒率【6週】(病型別:直腸炎型、左側大腸炎型、全大腸炎型)
安全性:副作用
※直腸からS状結腸にかけての病変部位を観察
解析計画 主要評価項目の主解析として、粘膜治癒率【6週】について、投与群ごとに点推定値及び95%信頼区間を求め、レクタブル®群とプラセボ群の対比を、下記の割付因子を共変量としたロジスティック回帰モデルで設定し、優越性の検定を行った。有意差は尤度比検定を用いた。
  • 現在の活動期の治療における局所製剤の使用有無(無し、有り)
  • 本登録日の排便スコア、血便スコア、内視鏡所見スコアの合計(4以下、5以上)
  • 原疾患の病変部位による分類(直腸及びS状結腸に限局、S状結腸を超えて口側に伸展)
粘膜治癒率については、病変の拡がりによる分類(病型別:直腸炎型、左側大腸炎型、全大腸炎型)を層別因子としたサブグループ解析を行うこととした。

有効性

粘膜治癒率6週(検証的解析結果)[主要評価項目]

粘膜治癒率(内視鏡所見スコア=0点の患者の割合)は、プラセボ群3.2%、レクタブル®群32.8%であり、両群間に有意差が認められた(尤度比検定,p<0.0001,検証的解析結果)。プラセボ群に対するオッズ比は、17.2〔95%信頼区間:4.5, 114.4〕であり、プラセボに対する優越性が検証された。
粘膜治癒率6週(検証的解析結果)[主要評価項目]を示すグラフ、縦軸が粘膜治癒率、横軸がプラセボ群(n=62)、レクタブル群(n=64)
  プラセボ群 レクタブル®
粘膜治癒率(%)[95%信頼区間] 3.2〔0.9, 11.0〕 32.8〔22.6, 45.0〕
オッズ比[95%信頼区間] 17.2〔4.5, 114.4〕
オッズ比はロジスティック回帰モデルによる。
※:粘膜治癒率(%)=(粘膜治癒した患者数÷総患者数)×100

注)共変量は以下のとおり
  • 現在の活動期の治療における局所製剤の使用有無(無し、有り)
  • 本登録日の排便スコア、血便スコア、内視鏡所見スコアの合計(4以下、5以上)
  • 原疾患の病変部位による分類(直腸及びS状結腸に限局、S状結腸を超えて口側に伸展)

7. 用法及び用量に関連する注意 本剤投与中は患者の病態を十分観察し、投与開始6週間を目安に本剤の必要性を検討し、漫然と投与を継続しないこと。[17.1.1 参照]

主要評価項目である粘膜治癒率の部分集団における結果【6週】

●病型別(サブグループ解析)

病型別における粘膜治癒率は、以下のとおりであった。
病型別 粘膜治癒率【6週】(主要評価項目のサブグループ解析)[副次評価項目]を示すグラフ、縦軸が粘膜治癒率、横軸がプラセボ群(n=23)レクタブル®群(n=22)直腸炎型、プラセボ群(n=34)レクタブル®群(n=31)左側大腸炎型、プラセボ群(n=5)レクタブル®群 (n=11)全大腸炎型
  直腸炎型 左側大腸炎型 全大腸炎型
プラセボ群 レクタブル® プラセボ群 レクタブル® プラセボ群 レクタブル®
群間差の点推定値(%)
〔95%信頼区間〕
31.8〔10.8, 52.7〕 29.6〔10.1, 47.7〕 27.3〔-19.6, 56.6〕

5. 効能又は効果に関連する注意 本剤が腸内で到達する範囲は概ねS状結腸部までであり、直腸部及びS状結腸部の病変に対して使用すること。[16.8.2 参照]

一部承認外の用法及び用量の成績が含まれるデータですが、安全性情報であるため紹介します。

安全性

本試験において、プラセボ群62例中6例(9.7%)、レクタブル®群64例中11例(17.2%)に副作用が認められた。主な副作用はレクタブル®群で高血圧3例(4.7%)、プラセボ群で高血圧1例(1.6%)であった。
本試験においていずれの群にも死亡を含む重篤な副作用は認められなかった。投与中止に至った副作用は、プラセボ群1例(炎症)、レクタブル®群3例(高血圧、末梢性浮腫、性器出血 各1例)であった。
承認時までの国内臨床試験※では175例中95例(54.3%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められている。主な副作用は血中コルチゾール減少72例(41.1%)、血中コルチコトロピン減少62例(35.4%)であった。
※第Ⅱ相試験並びに第Ⅲ相試験の集計結果を併合
注意:6週投与例、継続投与例のいずれにおいても、国内第Ⅲ相試験では、盲検性を維持するため、開鍵まで血漿コルチゾール濃度及び血漿コルチコトロピン濃度の測定結果を治験担当医師に開示しなかった。このため、これらの変動については有害事象の評価対象外とした。
なお、承認時までの副作用一覧の集計には、基準に該当する場合を副作用として取り扱った。(国内第Ⅱ相試験において、治験担当医師が有害事象と判断しなかった症例について、基準に該当する場合を副作用として取り扱った。)

●安全性情報については最新の電子添文をご参照ください

試験② 潰瘍性大腸炎における便意切迫は内視鏡的寛解下でも組織学的炎症と関連する(海外データ)

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Bowel Urgency in Ulcerative Colitis is Independently Associated with Histologic Inflammation and Stool Form Despite Endoscopic Remission.
Wei ZH, et al.: J Inflamm Res. 2025 Oct 8; 18: 13897-13906.

試験概要

試験デザイン 単施設横断研究(台湾)
試験方法 2024年9月~2025年3月の間に施設でフォローされていた潰瘍性大腸炎患者100例を対象とした。便意切迫をUrgency Numeric Rating Scale(NRS)で評価し、スコアに応じて便意切迫活動群(BU-A群)と便意切迫寛解群(BU-R群**)に群分けを行った。炎症評価として、臨床活動性は部分的Mayoスコア、内視鏡活動性はMayo endoscopic subscore(MES)、組織学的炎症は直腸生検に基づくNancy Index(NI)を用いた。便形状はBristol Stool Form Scale(BSFS)で評価し、患者報告アウトカム(PRO)としてIBD Disk(10領域)を用いてQOLおよび機能障害を評価した。
*便意切迫活動群(BU-A群):Urgency Numeric Rating Scale(NRS)>1
**便意切迫寛解群(BU-R群):NRS≦1
解析計画 BU-A群およびBU-R群の背景因子および各評価項目を比較した。連続変数は平均値±標準偏差(SD)で示し、群間比較にはStudentのt検定を用いた。カテゴリ変数は症例数および割合で示し、χ²検定または必要に応じてFisherの正確確率検定を用いた。単変量解析により便意切迫活動に関連する因子を抽出し、有意であった変数を投入した多変量ロジスティック回帰解析により独立関連因子を同定した。オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出した。
Limitation ①本研究では単施設の小規模研究である。 ②便意切迫の機能的要因については十分に検討できていない。 ③便中カルプロテクチンが十分に測定されておらず、炎症マーカーとの関連評価には限界がある。 ④患者報告アウトカム(便失禁の不安や便意切迫を感じる頻度など)は評価されていない。

患者背景

  • 内視鏡的寛解(MES=0)は24例に認められ、BU-A群では7例(14%)、BU-R群では17例(34%)であった。内視鏡的寛解であっても便意切迫は組織学的炎症と関連していることが示唆された。便意切迫を有する患者は一定数確認された。
  • 部分的Mayoスコア、Mayo内視鏡サブスコア、Nancy Index(NI)において、BU-A群で有意に高値であった(P<0.001,Studentのt検定)。
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Wei ZH, et al.: J Inflamm Res. 2025 Oct 8; 18: 13897-13906.

各薬剤の使用にあたっては、電子添文をご確認ください。

便意切迫の有無別におけるIBD Diskスコアの比較

  • BU-A群はBU-R群と比較して、IBD Disk総スコアおよび各スコアが有意に高かった(P<0.001,Studentのt検定)。
  • このことから、便意切迫はQOLに大きく影響していることが考えられた。
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便意切迫に関連する独立因子

  • 多変量解析の結果、Nancy Index(NI)(OR=1.874, 95%CI: 1.277-2.750, P=0.001)およびブリストル糞便形状スケール(BSFS)(OR=1.499, 95%CI: 1.052-2.137, P=0.025)が便意切迫との関連因子として認められた。
  • このことから、便意切迫は組織学的炎症と関連していることが示唆された。
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Wei ZH, et al.: J Inflamm Res. 2025 Oct 8; 18: 13897-13906.

各薬剤の使用にあたっては、電子添文をご確認ください。

本論文のまとめ

  • 潰瘍性大腸炎のさまざまな症状の中でも、便意切迫(BU)は患者にとって最も苦痛の大きい症状の一つと考えられており、生活の質や心理社会的な健康に深刻な影響を及ぼす。
  • BUは組織学的炎症と関連しており、内視鏡的寛解や組織学的寛解が認められる場合であっても持続する可能性がある。
  • BUを独立した治療ターゲットとして認識することは非常に重要であり、患者のQOL改善に深く関与する可能性がある。

試験③ 潰瘍性大腸炎におけるレクタブル®の便意切迫に対する有効性および安全性データ[QUIET試験]

Early resolution of bowel urgency by budesonide foam enema results in improved quality of life in patients with ulcerative colitis: a multicenter prospective observational study
Taku Kobayashi, Kei Moriya, Toshimitsu Fujii, Shigeki Bamba, Shinichiro Shinzaki, Akihiro Yamada, Takashi Hisabe, Shintaro Sagami, Shuji Hibiya, Takahiro Amano, Noritaka Takatsu, Katsutoshi Inagaki, Ken-ichi Iwayama, Toshifumi Hibi
出典:Kobayashi T, et al.: Intest Res. 2025 Apr; 23(2): 157-169.
COI:本試験は、EAファーマ株式会社及びキッセイ薬品工業株式会社の資金提供により実施された。また、本論文の著者に、EAファーマ株式会社、キッセイ薬品工業株式会社より資金提供を受けている者、EAファーマ株式会社の社員及びキッセイ薬品工業株式会社の社員が含まれる。

試験概要

目的 本研究の目的は、炎症性腸疾患質問票(IBDQ)を用いてQOL改善におけるブデソニド注腸フォーム剤の有効性を調査するために、潰瘍性大腸炎患者に対し、1日2回のブデソニド注腸フォーム剤による臨床症状(便意切迫)の改善、治療効果と安全性を調査した。
試験デザイン 日本の7施設で実施された非盲検多施設前向き観察研究。
対象 2020年10月から2022年5月の期間で便意切迫の症状を有する活動期潰瘍性大腸炎患者61名。
参加施設 北里大学北里研究所病院、奈良県立医科大学、東京医科歯科大学、滋賀医科大学、東邦大学医療センター佐倉病院、福岡大学筑紫病院、大阪大学
有効性評価 [主要評価項目]投与4週後の便意切迫消失率
[副次評価項目]病型別に見た便意切迫の消失率(サブグループ解析)、便意切迫の有病率(日別)
安全性評価 有害事象共通用語基準バージョン5.0に従って分類された有害事象および副作用を評価。
解析計画 解析対象集団は、全対象患者、服薬コンプライアンス集団(コンプライアンス50%以上)、研究を完了した患者集団、および安全性解析集団であった。統計的尺度は症例数、平均値(標準偏差)、中央値、四分位数 (Q1~Q3)、最小値~最大値を算出し、主要評価項目(便意切迫消失率:95%信頼区間)および副次評価項目を評価した。便意切迫の消失率(病型別)〈サブグループ解析〉のいずれもWilcoxon検定により有意差を求めた。また、便意切迫の有病率[副次評価項目]の有意差はMcNemar’s検定を用いた。安全性は、ブデソニド注腸フォーム剤治療患者について有害事象および副作用の発生により評価した。統計分析にはSASバージョン9.4(SAS Institute Inc、ノースカロライナ州ケアリー)を使用した。
Limitation シングルアームの前後比較試験且つサンプル数が少ない事である。
検証的な解析以外で得られたp値を名目上のp値とした。
*現:東京科学大学

患者背景

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※試験開始前1年以内に大腸内視鏡検査で評価された炎症の程度を示す。
5-ASA:5-アミノサリチル酸 Q:四分位数
Kobayashi T, et al.: Intest Res. 2025 Apr; 23(2): 157-169.

各薬剤の使用にあたっては、電子添文をご確認ください。

有効性

  • レクタブル®投与4週後の便意切迫消失率は58.5%であった。
  • 病型別に見た便意切迫消失率では、全大腸炎型では53.6%、その他の病型では48.5%であり、有意差は認められなかった(P=0.80, 名目上のP値,Wilcoxon検定)。
  • レクタブル®投与7日目における便意切迫の有病率は、ベースラインと比較して有意に減少した(P<0.05,名目上のP値,McNemar’s検定)。
  • 投与4週後の便意切迫消失率[主要評価項目]

    投与4週後の便意切迫消失率[主要評価項目]

    Kobayashi T, et al.: Intest Res. 2025 Apr; 23(2): 157-169. より作図
  • 病型別に見た便意切迫の消失率〈サブグループ解析〉[副次評価項目]

    病型別に見た便意切迫の消失率〈サブグループ解析〉[副次評価項目]

    Kobayashi T, et al.: Intest Res. 2025 Apr; 23(2): 157-169. より作図

便意切迫の有病率(日別)[副次評価項目]

Kobayashi T, et al.: Intest Res. 2025 Apr; 23(2): 157-169. より改変

安全性

有害事象は潰瘍性大腸炎の悪化1例(1.6%[1/61例])であった。本試験において死亡を含む重篤な副作用、投与中止に至った副作用は認められなかった。

レクタブル®の安全性情報については最新の電子添文をご参照ください。

2026年6月作成

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