大腸がん早期治療には、早期発見を!

【監修】国立がん研究センター中央病院/がん対策研究所 関口 正宇 先生

早期発見の重要性

 
一般的には、大腸がんにかかったら怖いイメージがありますが、実際はどうなのですか?
 
大腸がんの進行度は0~Ⅳの5段階の「ステージ(病期)」に分類されます。ステージは、がんが大腸の壁に入り込んだ深さ(深達度)、転移しているリンパ節の場所と数(リンパ節転移の程度)、肝臓や肺など大腸以外の臓器や腹膜への転移(遠隔転移)の有無によって決まります1)
ステージ分類
ステージ分類を示す図

1)大腸癌研究会編.患者さんのための大腸癌治療ガイドライン2022年版.金原出版, 2022年.P14

ステージ分類
ステージ0:癌が粘膜の中にとどまっている。
ステージⅠ:癌が大腸の壁(固有筋層)にとどまっている。
ステージⅡ:癌が大腸の壁(固有筋層)の外まで浸潤している。
ステージⅢ:リンパ節転移がある。
ステージⅣ:血行性転移(肝転移,肺転移)または腹膜播種がある。
1)大腸癌研究会編.患者さんのための大腸癌治療ガイドライン2022年版.金原出版, 2022年.P14
 
この5段階のステージのうち、ステージⅠまでの大腸がんの場合は5年後の生存率が92.3%と報告されています。ただ、ステージが進行するにつれて、生存率は徐々に低くなってしまいます。だから大腸がんは早期発見して治療することがとても大事なのです2)
ステージ別 大腸がんの5年生存率(相対生存率)
ステージ別 大腸がんの5年生存率を示すグラフ

2)国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 がん登録センター 院内がん登録 2014-2015年 5年生存率集計 2023年3月.P32
より作図

目的:院内がん登録全国集計として我が国のがん診療の実態を把握する。
方法:データ収集期間は、2022年7月25日から9月2日までとした。提出においては、「がん診療連携拠点病院院内がん登録標準登録様式登録項目とその定義2006年度版修正版」において定義された標準項目(以下「標準項目」と略す。)を満たす腫瘍データを収集した。
集計対象例・集計対象施設において、5年後の生存状況変数を作成し生存率を推定した。追跡期間(日数)が5年未満でかつ予後調査結果が死亡であった場合は、5年後の生存状況=死亡(1)とした。生存率は、Kaplan-Meier法を用いた実測生存率と、国立がん研究センターがん対策研究所がん登録センターにおいて作成されたコホート生存率表(2016年版)を用い、ネット・サバイバルを推定した。

 
ステージが進むと生存率が大きく下がっていますね。早期発見・早期治療が重要だとわかります。

大腸がん検診

 
大腸がんを早期発見するにはどうしたらよいのですか?
 
日本では40歳以上の方を対象に年1回「便潜血検査」が実施されています。この検査は専用のキットを使って採便し、便に混ざっている血液を検出してがんの疑いを判定します。
 
便潜血検査が陽性だったら必ず大腸がんなのですか?
 
そうとは限りません。大腸ポリープだけのこともあれば、異常がないこともあります。ただ、陽性というのは、大腸がんやその手前の病変が見つかる可能性が陰性よりも高いというサインなので、二次検査である大腸内視鏡検査を必ず受けることが大切です。
  • 便潜血検査

  • 大腸内視鏡検査

 
便潜血検査ではなく、最初から大腸内視鏡検査で調べる方法もあるのですか?
 
よく知っていますね。人間ドックや会社の健康診断では、最初から大腸内視鏡で検査する「内視鏡検診」が行われていることもあります。もしポリープなど切除が必要な病気が見つかったら、しっかり取ることが大事です。そして、その結果に応じて「次は何年後に検査を受けたほうがよいか」が決まるので、その間隔を守って検査を続けていくことが大切なのです。

大腸内視鏡検査の必要性

 
大腸内視鏡検査は、お尻から小さなカメラを入れて病変を確認するのですよね。大腸内視鏡検査の前には、腸管洗浄剤を飲んでおなかを空っぽにしますが、この腸管洗浄剤を飲むのが大変というイメージをお持ちの方もいるようです。それでもやはり、大腸内視鏡検査は受けなきゃいけないですか?
 
便潜血検査が陽性になったら、必ず大腸内視鏡検査を受けましょう。検査前は面倒だったり不安に感じることもあるかもしれませんが、がんを早期発見・治療できた後は必ず受けてよかったと感じるはずです。一番よくないのは検査を先延ばしにして、気づかないうちにがんのステージが進行してしまうことです。もし大腸内視鏡を受けるのが難しい場合でも、そのままにせず医療機関に相談してくださいね。いまは「大腸CT検査」という選択肢もあります。
 
わかりました。まずは毎年便潜血検査を実施して、陽性の場合は必ず大腸内視鏡検査を受けるようにします。

まとめ

大腸がんは早期発見・早期治療により高い確率で治せる病気です。年1回便潜血検査を実施し、陽性の場合は大腸内視鏡検査を受けましょう。

1)大腸癌研究会編.患者さんのための大腸癌治療ガイドライン2022年版.金原出版, 2022年.P14
2)国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 がん登録センター 院内がん登録 2014-2015年 5年生存率集計 2023年3月.P32

2025年9月作成

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