大腸がんの内視鏡治療について

【監修】公益財団法人 早期胃癌検診協会附属茅場町クリニック 藤﨑 順子 先生
 
大腸がんは、内視鏡で治療できるのでしょうか?
 
はい、内視鏡で治療できる大腸がんもあります。
ただし、すべての大腸がんが対象ではなく、リンパ節への転移の可能性がほとんどない「ステージ0」と「ステージ1の一部」の大腸がんが対象となります1)
 
ステージ0って、かなり早い段階ですよね?
 
そうですね。「ステージ0は大腸粘膜内にとどまるがん(転移は認めない)2)です。」また、大腸がんの前段階である「腺腫」を切除することも、死亡率の低下に大きく貢献すると考えられています3)4)(海外データ)。
 
腺腫って何ですか?
 
腺腫は、大腸ポリープの一種で、将来的にがんへと進行する可能性がある5)(海外データ)「がんの芽」といわれています。
この腺腫を早い段階で切除することで、大腸がんの予防につながるとされています5)(海外データ)。
腺腫とがんは非常に深い関係があるんですよ。
 
腺腫には、どんな治療方法があるのですか?
 
入院施設のない医療機関では、拡大内視鏡でがんの所見がない1cm以下の腺腫に対して、外来での内視鏡治療が可能なことが多いです。
 
内視鏡治療は安全な治療なのですか?
 
最近では「cold polypectomy」という、電気を使わずにポリープを切除する方法が普及しており、従来法よりも出血や穿孔のリスクが少なく、安全に切除できるようになっています6)7)(海外データ)。

cold polypectomy

大腸癌研究会編.患者さんのための大腸癌治療ガイドライン2022年版.金原出版, 2022年.P22

 
それ以上の大きさや、がんの疑いがある場合はどうしたらよいですか?
 
1cmを超える病変や拡大内視鏡でがんの所見がある場合には、「EMR(内視鏡的粘膜切除術)」(図1)や「ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)」(図2)といった専門的な手技が用いられます。
 
EMRはどのように行われるのですか?
 
EMRでは、癌が疑われる病変の粘膜下に生理食塩水を注入して膨らませ、スネア(金属線製の輪)をかけ通電を行い切除します。
特に大きな病変で、スネア(金属線製の輪)では一度に切除することができない場合はESD による切除が必要です。
粘膜下層に生理食塩水を注入しナイフを用いて全周を切除していきます。
なお、大腸ESDは認定された施設で行われ、入院による治療が必要となることがあります。
 
病変の大きさによって選択する手技が変わってくるのですね。病変が小さいうちに早期発見することで治療の負担も小さくなることがわかりました。

図1 EMR(Endoscopic MucosalResection)

大腸癌研究会編.患者さんのための大腸癌治療ガイドライン2022年版.金原出版, 2022年.P23

図2 ESD(Endoscopic Submucosal Dissection)

大腸癌研究会編.患者さんのための大腸癌治療ガイドライン2022年版.金原出版, 2022年.P24

1)大腸癌研究会編.大腸癌治療ガイドライン医師版2024年版.金原出版, 2024年.P12
2)国立がん研究センターがん対策研究所. 「大腸がんファクトシート 2024」. https://www.ncc.go.jp/jp/icc/crcfactsheet/index.html(2025年12月25日アクセス)
3)Zauber AG, Winawer SJ, O’Brien MJ et al. N Engl J Med 2012;366:687-96.
4)Manser CN, Bachmann LM, Brunner J et al. Gastrointest Endosc 2012;76:110-7.
5)Citarda F, Tomaselli G, Capocaccia R et al. Gut 2001;48:812-5.
6)Repici A, Hassan C, Vitetta E et al. Endoscopy 2012;44:27-31.
7)Shimodate Y, Mizuno M, Takezawa R et al. Int J Colorectal Dis 2017;32:1261-6.

2025年12月作成

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