慢性すい炎患者さんのためのすい臓にやさしい食事と生活習慣

患者さま・ご家族のみなさま

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慢性すい炎患者さんのためのすい臓にやさしい食事と生活習慣

すい臓のはたらき

すい臓は、食べ物を消化する「すい液」をつくり、十二指腸へと送り出す役目を持つ臓器です。

口の中に入った食べ物は、食道から胃、十二指腸へと運ばれます。そのとき、すい臓からたんぱく質や脂質を消化するすい液が送りだされ、胃で消化しきれなかった食べ物は小腸で分解されていきます。

すい臓は胃のちょうど裏側、背中の近くに位置するため慢性すい炎などの炎症がおきると、お腹の左上から背中にかけて痛みを感じます。

イラスト:痛みのイメージ

慢性すい炎の痛みの原因

イラスト:慢性すい炎の痛みの原因イメージ

早めの治療が肝心です!

慢性すい炎は、放っておくと、どんどん悪化します

グラフ:病期/すい臓のはたらきと痛みの強さ/症状の変遷

食事・生活習慣の改善が、いちばんの治療法です

慢性すい炎と診断されると、症状に合わせ、次のようなステップで治療が行われます。

  • 治療ステップ①食事・生活習慣の改善②薬物治療③外科治療
  • イラスト:食事・生活習慣の改善が基本です!

出典:日本膵臓学会 教育委員会:膵臓病診療ガイドブック、 診断と治療社、 176-177

脂肪量は1日30〜35グラムまで

慢性すい炎の患者さんに、食事をとる上でいちばん気をつけていただきたいのは、脂っこい食べ物を出来るだけセーブすること。
脂肪量を制限すると、慢性すい炎の痛みがやわらぐ可能性があります。

食品ごとの脂質量の目安

  • イラスト:スナックめん(油揚げめん)

    スナックめん(油揚げめん)
    1個100gあたり

    19.7g
  • イラスト:クロワッサン 1個50gあたり

    クロワッサン
    1個50gあたり

    13.4g
  • イラスト:ポテトチップス 1袋90gあたり

    ポテトチップス
    1袋90gあたり

    31.7g
  • イラスト:ブリ 焼き 大1切れ100gあたり

    ブリ 焼き
    大1切れ100gあたり

    20.4g
  • イラスト:うなぎ かば焼き 1串60gあたり

    うなぎ かば焼き
    1串60gあたり

    12.6g
  • イラスト:まいわし 焼き 1尾50gあたり

    まいわし 焼き
    1尾50gあたり

    4.7g
  • イラスト:和牛ヒレ 100gあたり

    和牛ヒレ
    100gあたり

    15.0g
  • イラスト:豚肩脂身付き 100gあたり

    豚肩脂身付き
    100gあたり

    14.6g
  • イラスト:若鶏むね肉 皮付き 100gあたり

    若鶏むね肉 皮付き
    100gあたり

    5.9g
  • イラスト:ウインナーソーセージ 2本30gあたり

    ウインナーソーセージ
    2本30gあたり

    8.6g
  • イラスト:鶏卵 中1個60gあたり

    鶏卵
    中1個60gあたり

    6.2g
  • イラスト:マヨネーズ(全卵型) 大さじ1杯15gあたり

    マヨネーズ(全卵型)
    大さじ1杯15gあたり

    11.3g
出典:文部科学省科学技術・学術審議会 資源調査分科会編:日本食品標準成分表 2015年版(七訂)、
全国官報販売協同組合、 別表より
そうは言っても、食事のたびに脂肪量に気を使うのは、大変です。
そこでおすすめしたいのが、毎日の食事に脂肪分の少ない栄養剤を取り入れる、という方法です。
たとえば、朝・昼・夜の3食のうち、1食を栄養剤に置き換えてみる。
たとえば、食事の前に栄養剤を服用してから、食事をとる。
栄養剤でバランスよく栄養を補給し、程良くお腹を満たすことで自然と食事の量は減り、脂肪量も抑えることが期待できます。
イラスト:食事の脂肪分を減らす工夫(栄養剤でバランスよく栄養を補給)

慢性すい炎を発症・進行させないためにこれだけは守りましょう!

1.アルコール・タバコは控えましょう。

イラスト:アルコール・タバコ

2.脂肪分が少なく、消化のよい食事を心がけ、栄養剤でバランスよく栄養を補給しましょう。

イラスト:栄養剤と脂肪分が少なく消化のよい食事のイメージ

3.お腹の痛みがなくなっても、定期的に受診をしましょう。

イラスト:受診イメージ

最後に

慢性すい炎は、すい臓が炎症を繰り返しながら、どんどんそのはたらきを失っていく病気です。
一生つきあわなければならない病気ですが、食事・生活習慣の改善によって、病気の進行を遅らせることはできます。

患者さん、家族の方々、そして私たちが一緒になって、病気の進行を食い止める努力をしていきましょう。
食事・生活習慣の改善は、毎日続けることが大事。肩にちからを入れず、でも自分の体のことをちゃんと考えて、今日から毎日続けてみましょう。

慢性膵炎についてもう少し詳しい情報が知りたい方は、アプリが無料でインストールできます。
アプリ名称:「慢性膵炎」の話をしよう

総監修:伊藤鉄英先生(日本膵臓学会教育委員会)

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「慢性膵炎」の話をしよう。生活習慣の改善の手引き2022第2版

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