【第2回】排泄ケアの基本

排泄ケア解説動画 コンチネンスケアはミステリーとともに【第2回】排泄ケアの基本
【監修】日本コンチネンス協会 名誉会長/コンチネンスジャパン株式会社 専務取締役 西村 かおる 先生
本コンテンツは、西村かおる(2013)『新・排泄ケア ワークブック-課題発見とスキルアップのための70 講-』中央法規出版の内容を引用しています。

ポイント

  • 排泄行為は連続した日常生活動作を行う高度な行為
  • 障害の原因をアセスメントし、当車者に合わせたケアを考えることが重要
  • アセスメントには統一された記録方法・排便日誌を活用

Chapter1 排泄の流れから考える当事者に合わせたケア

排泄行為は連続した日常生活動作

排泄には次の一連の過程が含まれます。
  1. 尿意・便意を感じる
  2. トイレ・尿器・便器を認識する
  3. トイレまで移動する
  4. 衣服・下着を下ろす
  5. 便器に上手に座る
  6. 排泄する
  7. 後始末をする
  8. 衣服を着ける
  9. 部屋へ移動する
排泄は、このように連続した日常生活動作をスムーズに行わなければならない高度な行為です。
そのため、排泄動作を行うためには「大脳の判断力」、「手先の動きも含む運動機能」、「膀胱・尿道機能」、「直腸・肛門機能」が正常に慟き、「トイレの数が十分あるかなどの環境要因」が整っていることが必要となります。

例えば、トイレに問に合わず失禁してしまったという患者さんの場合、まず1~6のどこに問題があるかを考えます。
2.トイレ・尿器・便器を認識するに問題がある場合、次にその原因を考えます。原因としては、「認知症・判断力の低下」「白内障や糖尿病による視力陵害」「トイレや便器の位置がわかりにくい、使いづらい場所にある」などが挙げられ、原因によって行うケアは異なります。

このように、排泄障害が起こっているときは、患者さんの希望する状態を目標とし、理想の状況が阻害される原因を分析することで適切な看護計画の立案につなげます。
排泄動作は「できて当たり前」と考えると障害の原因を見落としがちです。当たり前として原因を見落とすことがない視点が情報収集・分析、つまりアセスメントの基本であり、とても重要です。
西村かおる(2013)『新・排泄ケア ワークブック-課題発見とスキルアップのための70講-』中央法規出版

2024年1月

7分36秒

動画説明

ある日、一人の患者さんが失禁しておむつを着用することに。落ち込んだ患者さんは失禁の状況を話してくれません。「なぜ失禁が起きたのか?」ミステリー好きの看護師は、患者さんの失禁当時の状況を追体験して原因を探ることに。
  • continence-care02_01
  • continence-care02_02

ワークシート

患者さんの排泄障害の原因を具体的に考えてみましょう。以下のボタンからワークシートをダウンロードしてご活用ください。
※ダウンロード版はA4 PDFとなります。

Chapter2 排泄ケアの基本のポイントと排便日誌

便通異常症診療ガイドライン2023‒慢性便秘症におけるグーフィス®の位置づけ

フローチャート2

注1)マグネシウム製剤は, 高齢者や腎機能低下者には注意. 血清マグネシウム値をモニタリングする. 保医発により, 保険診療上,糖類下剤のラクツロース製剤とPEG(polyethylene glycol)は, 従来薬を投与した後, 効果不十分の場合に投与可能である.
注2)高齢者など患者の病態に応じて投与する. 他の治療薬との併用も可である.
注3)オンデマンド療法が頻回になる場合は治療薬の変更を考慮する.
注4)他の治療薬との併用も可である.

「日本消化管学会編, 便通異常症診療ガイドライン2023‒慢性便秘症, 南江堂, 2023, p.xxiii」より許諾を得て転載
A2, Bはガイドラインを参照すること.
プロバイオティクス、消化管運動機能改善薬は慢性便秘症の効能又は効果を有していない

排便ケアのアセスメント:排便日誌

排便ケアではアセスメントが非常に重要です。日数だけでなく、便の性状(便性)がより重要で、合わせて判断してコントロールします。そのために排便周期と便性を把握します。また、排便障害のタイプによってケアを変えることが必要です。これらを把握するために重要なのが「排便日誌」です。

排便日誌の項目には下記が挙げられます。
便の性状 便の性状の記載には、ブリストル便形状スケール(国際学会で定められた尺度)を活用します。便の性状は表現しにくく、人によって異なる可能性がありますが、スケールを使うことでスタッフ共通の尺度で把握することができます。ブリストルスケールの1・2は便秘、3〜5は普通便、6・7は下痢と考えます。
※Lewis SJ, et al.: Scand J Gastroenterol 1997; 32(9): 920-924
便の量 便の量は、うずら卵大、あるいは〇cm×〇cm〇本といった具体的な表現にできると詳しく判断することができます。施設で統一した基準を設けるとより記載しやすいでしょう。
排便時間  
便失禁の有無  
随伴症状 腹痛や出血の有無などを記載します。
排便の方法  
誘導の有無  
下剤の種類と量 投与時間と種類を記録します。坐薬を使用した場合は、効果が出るまでの時間を、洗腸は投与した液の量を記録します。
投与時間  
食事の量  
西村かおる(2013)『新・排泄ケア ワークブック-課題発見とスキルアップのための70講-』中央法規出版

排便日誌から分かること

1.排便周期が分かります。
排便周期は個人差が大きく、毎日の人もいれば、5日に1回の人もいます。日誌をつけることで、排便周期と出やすい時間が確認できます。

2.食事内容と排便への影響が把握できます。
食事内容と排便状況は密接に関係しています。食事日誌と照らし合わせることで、排便異常の原因を推測することができます。便秘の場合、食事量の不足の他にも、食物繊維が不足している内容であれば、食事内容が便秘の原因である可能性も考えられます。食事の影響がわかれば、食事内容を改善するよう検討します。

3.排便障害のタイプが把握できます。
便性から、便秘か下痢か薬物、特に下剤の影響などが確認できます。

4.治療やケアのスタート前後を比較することで、排便状態の変化から治療やケアの効果を確認することができます。
これは、患者さんの治療に対するモチベーションをあげることにも繋がります。
排便は自己管理が必要なことが多いので、自分で便性を確認できれば、治療やケアの効果を患者さん自身も確認でき、満足感や、やる気を持つことができます。

排便日誌は患者さんの状態を把握する上で非常に重要な情報源です。きちんと記録が取られた日誌を読み込めば、排便障害の原因を推測することができ、対処方法を計画することが可能となります。
監修:日本コンチネンス協会 名誉会長 西村かおる先生

2024年1月

8分00秒

動画説明

患者さんの排便状況は日々変わるのに、状態の把握がうまくできてない!その原因を探ってみるとどうやら記録の仕方にあるようで・・・

  • continence-care02_03
  • continence-care02_04

排便日誌

排便日誌「お通じノート」のダウンロード版をご用意しました。以下のボタンからワークシートをダウンロードしてご活用ください。
※ダウンロード版はA4 PDFとなります。
continence-care02_06

2025年9月作成

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