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Dr. Falk Pharma GmbHと新規肝疾患治療薬nor-Ursodeoxycholic Acidの日本におけるライセンス契約を締結

2019年2月19日

EAファーマ株式会社

 EAファーマ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:松江 裕二、以下EAファーマ)は、このたび、Dr. Falk Pharma GmbH(本社:ドイツ フライブルク市、Managing Director:Roland Greinwald、Philipp Argast、Susanne Höppner、以下、Dr. Falk社)と、Dr. Falk社が新規肝疾患治療薬として開発中のnor-Ursodeoxycholic Acid(norUDCA)について、日本における開発・製造・販売等に関するライセンス契約を締結しましたのでお知らせいたします。

 本契約により、当社は日本において、norUDCAの原発性硬化性胆管炎(PSC)および非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を適応症とする治療薬としての開発を行い、承認取得後は独占的に販売を行います。なお、本契約に伴い、当社は Dr. Falk社に対して、契約一時金、マイルストン、ロイヤルティを支払います。

 norUDCAは、Dr. Falk社がPSCおよび非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)患者様を対象として開発を進めている新規肝疾患治療薬です。欧州で実施されたPSC患者様に対する臨床第Ⅱ相試験において、アルカリホスファターゼを始めとする肝機能検査値の改善効果が確認されています。PSCは日本において指定難病であり、病状が進行すると非代償性肝硬変を引き起こしますが、現時点では適応を有する薬剤はなく、病状の進展を抑えるための新たな治療法の開発が望まれています。さらに、欧州で実施されたNAFLD患者様に対する臨床第Ⅱ相試験においても、肝障害の指標となるアラニンアミノトランスフェラーゼに加え、肝脂肪量や肝硬度に対する改善効果が確認されており、NASHに対しても有用な薬剤となることが期待されます。当社とDr. Falk社は、本契約に基づき、norUDCAの早期承認取得に向けた協業を進めてまいります。

 EAファーマは、消化器疾患領域のスペシャリティ・ファーマとして、「炎症性腸疾患」、「肝臓疾患・膵臓疾患」、「機能性消化管疾患」、「粘膜障害」、「内視鏡・手術周辺」を重要な立地と位置付け、アンメット・メディカル・ニーズの高い領域でのソリューション提供を目指しています。norUDCAの新規肝疾患治療薬としての開発は、現在適応を有する治療薬のない肝疾患患者様のアンメット・メディカル・ニーズの充足に貢献できるものと期待しております。

《参考資料》

1. Nor-Ursodeoxycholic Acid(norUDCA)について

 本剤は、Ursodeoxycholic acid(UDCA)の同族体であり、UDCAより側鎖が短い構造を持つ人工的に合成された胆汁酸です。UDCAと比較してタウリンやグリシンによる抱合を受けにくい性質を有することで、胆汁酸として胆汁中に排出後、胆管細胞で吸収され肝細胞に戻るというCholehepatic shuntingを効果的に引き起こします。この過程で胆管内の重炭酸イオン分泌および胆汁酸生成量を増加させることにより、胆管および肝臓の庇護作用を有することが期待されます。

2. 原発性硬化性胆管炎(PSC:Primary Sclerosing Cholangitis)について

 PSCは、肝内外の胆管の線維性狭窄を生じる進行性の慢性炎症疾患で、国の指定難病です。2007年に行った疫学調査から、日本における患者総数は約1,200人と推定されています1)。自己免疫性肝炎や原発性胆汁性胆管炎と同様に免疫学的異常によると考えられていますが、詳細は不明です。2012年に実施された全国アンケート調査では、頻度は男性にやや多く、発症年齢が20歳代と60歳代の二峰性であり、肝内肝外胆管両方の罹患例が多く、胆管がんの合併を7.3%に、潰瘍性大腸炎の合併を34%に認めたと報告されています2)。現時点では、PSCの適応を持つ薬剤は上市されておりません。

3. 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:Non-Alcoholic Fatty Liver Disease)/非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:Non-Alcoholic Steatohepatitis)について

 アルコール摂取の習慣がないにも関わらず組織診断あるいは画像診断で脂肪肝を認める病態をNAFLDと言います。NAFLDのうち80~90%は長い経過をみても脂肪肝のままですが、残りの10~20%の患者様は徐々に悪化して、肝硬変への進行や、肝がんを発症することもあります。このアルコールを除く様々な原因で起こる脂肪肝のうち、炎症や線維化を伴い、肝硬変や肝がんに進行する脂肪肝のことをNASHと言います。日本におけるNAFLDの有病率は9~30%で1,000万人以上の患者様がおられ、男性は中年層、女性は高齢層に多いと報告されています。また、NASHの有病率は3~5%と推定されています3)。肥満の方やメタボリックシンドロームの患者様の増加に伴って患者数が増えていくことが懸念されていますが、現時点では、NAFLDおよびNASHの適応を持つ薬剤は上市されておりません。

4. EAファーマ株式会社について

 エーザイ株式会社の消化器事業子会社であるEAファーマは、エーザイグループが60年以上取り組んでいる消化器事業と、アミノ酸をコアとする味の素グループの消化器事業が、2016年4月に統合して設立された、研究開発、生産物流、営業・マーケティングのフルバリューチェーンを有する消化器のスペシャリティ・ファーマです。
 EAファーマ株式会社の詳細情報は、http://www.eapharma.co.jp/ をご覧ください。

5. Dr. Falk Pharma GmbHについて

 Dr. Falk社は、消化器疾患領域において世界をリードする企業のひとつです。Dr. Falk社の製品には、炎症性腸疾患、胆汁うっ滞性肝疾患、過敏性腸症候群、便秘症の治療薬、および大腸内視鏡検査前処置用の腸管洗浄剤があり、世界60ヵ国以上で販売されています。また、Falk財団を組織し、国際シンポジウム、フォーラム、大学院コースおよび文献サービスを通じて医療情報を提供しています。過去45年にわたり、Falk 財団が200回以上開催した国際的なFalkシンポジウムやワークショップは、参加された110ヵ国10万人以上の研究者と医師の消化器病学と肝臓病学の知識の向上に貢献しています。
 2017年11月に日本国内においてEAファーマが製造販売承認を取得したレクタブル®注腸フォーム2 mg 14回(ブデソニド注腸フォーム剤)は、Dr. Falk社から導入した潰瘍性大腸炎の治療薬です。
 Dr. Falk Pharma GmbHの詳細情報は、https://www.drfalkpharma.de をご覧ください。

 

1) 難病情報センター 原発性硬化性胆管炎(指定難病94):http://www.nanbyou.or.jp/entry/3967
2) 難病情報センター 原発性硬化性胆管炎(指定難病94):http://www.nanbyou.or.jp/entry/3968
3) 日本消化器病学会ガイドライン NAFLD/NASHガイド:https://www.jsge.or.jp/guideline/disease/nafld.html

以 上

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