不適切な排便コントロールの影響

【監修】看護師/医療経営コンサルタント 田中 智恵子 先生
患者のQOL低下、業務負担の増加、必要物品・薬剤の追加
適切な排便コントロールができずに便秘・下痢を繰り返すと、患者の苦痛に加え、そのケアに関わる医療スタッフや追加物品にかかわるコストにも影響します。排便トラブルが発生した場合のコストシミュレーションをしてみます。
参考事例:相生山病院/患者・同僚・管理者に好かれる デキるナースになるシリーズ 番外編「排便コントロールにおける栄養剤選定のメリット」より
※薬価は、2021年12月現在の価格を元に一部改変

便秘時の対応

前提条件:便秘が発生し、内服薬の調整、緩下剤の滴下を経て夜間排泄状況確認しても排泄が見られず、最終的に摘便まで至った場合の4段階を経た際の損失試算。
表/便秘発生による一人当たりの損失:2,390.3円→便秘発生時step4まで対応した場合のコストは一人当たり 2,390.3円→経管栄養患者67名(月平均)の46%にあたる、30名が便秘であった場合2,390.3円×30名=71,709円の病棟コストが発生

下痢発生時の場合

前提条件:下痢が発生して、びらんが生じ軟膏塗布で処置。病衣交換、オムツ交換が1回増加した場合の1日当たりの損失試算。
表/1日あたりのコスト:1,732.3円42分10秒→下痢発生時の業務増加により、 下痢未発生時と比較すると1,331.5円の損失が発生すると考えられる。1,732.3円 - 400.8円 = 1,331.5円、下痢が発生することにより1日当たり32分10秒の作業時間の損失が発生することにつながる可能性がある。42分10秒 ー 10分 = 32分10秒

下痢未発生時の場合

表/1日あたりのコスト:400.8円10分→経管栄養患者67名(月平均)の12.5%にあたる8名に下痢が発生し、対応に1日要した場合10,652円の損失が発生することにつながる。1,331.5円 × 8名 = 10,652円、作業時間においては、4時間17分20秒の介助提供時間が増加することにつながる可能性がある。32分10秒 × 8名 = 4時間17分20秒
価格については2021年当時のものであり最新の状況をご確認ください。各薬剤の使用にあたっては、電子添文をご確認ください。
資料提供 相生山病院 看護師 野村 直樹 氏

理想的な排便コントロールのポイント&メリット

生活習慣を変えることが困難な高齢者や入院患者に見受けられる慢性的な便秘症状に対しては、薬剤による治療が選択肢の1つとなります。適切な薬剤の選択で排便トラブルを予防できれば、患者の安楽、医療従事者の業務負担軽減、病院経営上のコスト削減の「三方よし」が期待できます。みなさんのモチベーションアップにもつながるような、快適な排便コントロールを目指しましょう。

生活習慣の見直し
 ・水分、食事の摂取量や内容
 ・運動と睡眠
腹部マッサージ、温罨法
排便姿勢の確認
便秘の原因にあった薬剤を選択
 ・浸透圧性下剤、刺激性下剤、新規治療薬

出典:Webサイト ナースの星【これからのナースに求められるケアの質とは?】コストマネジメントの視点より(2019年12月)
https://www.nurse-star.jp/column/1735/ 2024年6月閲覧
発行:EAファーマ株式会社 コンテンツ提供/制作・編集:メディバンクス株式会社

2025年2月作成

便秘診療のコツ

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