精神疾患と便秘の関係性

精神疾患を有する患者を対象とした検討において、便秘の併存が認められました。【海外データ】

精神疾患と便秘の関連性
精神医学的診断表/縦軸が適応障害、統合失調症とその他の精神疾患、うつ病、パーソナリティ障害、せん妄、認知症、健忘症と認知障害、アルコール関連の精神疾患、双極性障害とその他の気分障害、不安障害、広汎性発達障害、その他、横軸が18~60歳(n=3433)、60歳以上(n=1295)
a すべてのカテゴリーは、性別、年齢、抗精神病薬、気分安定剤、抗うつ薬、カルシウムサプリメント、鉄サプリメント、利尿薬、NSAID、オピオイド、リチウム、交感神経刺激薬、抗コリン作用薬、およびベンゾジアゼピンの使用について調整された。
* 5%水準で有意である。
※ not estimable:評価不能
対象・方法 2007年~2010年の間にオランダの精神科センターに入院した18歳以上の患者4,728例を対象に、精神医学的診断(DSMIV基準に従う)ごとの便秘(少なくとも1回の下剤の処方を受けた)の有病率、精神医学的診断と便秘との関係(ロジスティック回帰分析による)を調査した。
Limitation 当試験のlimitationとして、BMI高値、低栄養、低運動量、低収入、喫煙状況など、便秘の潜在的危険因子と考えられる項目についてのデータがなかったこと、下剤の処方を少なくとも1回受けた患者を便秘患者としたこと、適応障害の患者を対照群としたことが挙げられる。
Jessurun JG, et al.: Psychiatry J 2016; 2016: 2459693

精神疾患における便秘の主な要因として、①ストレス反応、②運動不足・生活リズムの変調、③向精神薬の影響・刺激性下剤の影響が挙げられます。

精神疾患における便秘の原因
表/ストレス反応、運動不足・生活リズムの変調、向精神薬の影響 2, 3)・刺激性下剤の影響
1)内藤裕二 編:脳腸相関-各種メディエーター,腸内フローラから食品の機能性まで,p1-10,58,2018,医歯薬出版
2)水上 健:月刊薬事 2017;59(11):63-67
3)日本消化器病学会関連研究会,慢性便秘の診断・治療研究会 編.:慢性便秘症診療ガイドライン 2017,p36,37,81,2017,南江堂

便秘のある人は、便秘のない人に比べ、不眠症の可能性がある割合が有意に高かったことが認められました(p<0.001、χ2検定)。

便秘群と非便秘群におけるアテネ不眠尺度6点以上の割合
グラフ/縦軸がアテネ不眠尺度6点以上の割合、横軸が便秘群、非便秘群
Ueki Y, et al.: Yakugaku Zasshi 2011; 131(8):1225-1232
対象・方法 便秘と睡眠障害の関係を明らかにするため、北九州市八幡病院の2007年2月~2009年10月の入院患者344例を対象として、排便習慣、下剤の使用、アテネ不眠尺度(Athens Insomnia Scale)のスコアを調査した。
患者を便秘群(n=161 排便習慣について「便秘」、あるいは「偶発的な便秘」と自己申告した患者、及び又は下剤を使用している患者)と非便秘群(n=183 排便習慣が「普通」かつ下剤の使用なしの患者)の2群に分けて比較した。
※アテネ不眠尺度は不眠重症度を測定する尺度で、8つの質問項目からなり24点満点で評価する。0~3点:不眠症の心配なし、4~5点:やや不眠傾向あり、6~9点:軽度不眠症の可能性、10~15点:中等度不眠症の可能性、16~24点:重度不眠症の可能性
結果 アテネ不眠尺度のスコアが、不眠症の可能性があることを示す6点以上の患者の割合は、便秘群31.7%、非便秘群16.4%であり、便秘群が有意に多かった(p<0.001、χ2検定)
Limitation 便秘と関連があるとされる食事と運動については当研究では考慮しなかった。
Ueki Y, et al.: Yakugaku Zasshi 2011; 131(8):1225-1232

高齢者は若年者に比して、結腸通過時間の有意な延長が認められました(p=0.0008、重回帰分析)。

グラフ/縦軸が平均結腸通過時間、横軸が高齢者、若年者

高齢者と若年者での結腸通過時間

Madsen JL, et al.: Age and Ageing 2004; 33(2): 154-159より作成
表/高齢者および若年者における消化管運動の評価結果と年齢、性差、BMIおよび喫煙が消化管運動に与える影響
対象 デンマークの健康高齢者16例( 男性8例、女性8例、平均年齢81歳[74-85歳]、平均body mass index 25.0kg/m2[21.6-29.7kg/m2])と健康若年者16例( 男性8例、女性8例、平均年齢24歳[20-30歳]、平均body mass index 22.4kg/m2[18.9-26.5kg/m2 ])
方法 朝に、ラベルマーカーを含む1600-kJのリキッドおよび固形食(80gのパン、120gのオムレツ、200gの水)を10分で摂取後、ラベルマーカーが小腸から検出されなくなるまで、30分間隔でガンマカメラにて確認した。翌日からは、24時間毎にラベルマーカーが結腸から排出するまでガンマカメラで確認し、結腸通過時間を測定した。なお、水に111In-DTPAを加え、99mTcはオムレツに加え、ラベルマーカーとした。
Limitation 当試験のlimitationとして、身体活動レベル、食習慣、心理的要因のばらつきが、結果に影響を与えた可能性があること、若年女性の胃排出評価が月経周期を考慮した時期に行われなかったことなどが挙げられる。
Madsen JL, et al.: Age and Ageing 2004; 33(2): 154-159

2025年2月作成

便秘診療のコツ

外部サイトに移動します

EAファーマのウェブサイトを
ご覧いただきありがとうございます。
これより先は、外部サイトになります。

移動する方はこちらを
クリックしてお進み下さい

医療関係者確認

ご利用上の注意

このサイトは国内の医療機関にお勤めの医療関係者(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、介護福祉士等)を対象に、
有益な情報を提供するために公開しています。 国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。

あなたは医療関係者ですか?

医療関係者の方