刺激性下剤が投与されている、慢性便秘症を合併した精神疾患患者に対するグーフィス®投与の影響

日本標準商品分類番号872359 医薬品リスク管理計画対象製品 刺激性下剤が投与されている、慢性便秘症を合併した精神疾患患者に対するグーフィス®投与の影響 処方箋医薬品:注意-医師等の処方箋により使用すること 胆汁酸トランスポーター阻害剤 薬価基準収載 グーフィス®錠5mg GOOFICE®Tablets(エロビキシバット水和物錠)
宇野準二ら: 臨床精神薬理2023; 26(2): 197-206
COI: 当研究はEAファーマ株式会社及び持田製薬株式会社による資金提供を受けて実施された。

【監修】桶狭間病院藤田こころケアセンター 藤田 潔 先生

監修者コメント

刺激性下剤が投与されている、慢性便秘症を合併した精神疾患患者に対して、グーフィス®を投与したところ、2週、5週、9週、16週で排便回数が投与前に比べて有意に増加し、刺激性下剤の投与量も減少した。

精神疾患と便秘症は関連しやすく、精神疾患患者には慢性便秘症を合併し、刺激性下剤などの便秘症治療薬の投与を受けている患者が多いと考えられる。

慢性便秘症診療ガイドライン2017では、刺激性下剤は慢性便秘症に対して有効であるが、長期連用により耐性が出現して難治性便秘になることがあり注意が必要であるとし、頓用または短期間の投与を提案している。

当研究により、グーフィス®は、慢性便秘症を合併する精神疾患患者の刺激性下剤の使用量減少に寄与できる可能性があることが示唆された。

調査概要

目的 慢性便秘症を合併し刺激性下剤を服用している精神疾患患者に対して、グーフィス®を投与した際の刺激性下剤の使用状況の変化を調査すること。
対象・方法 桶狭間病院藤田こころケアセンターにて精神疾患の治療を入院あるいは通院により受けている患者で、慢性便秘症と診断され、2018年6月1日から2021年11月30日の間にグーフィス®の初回投与を受け、以後12週間以上の継続が確認されており、また、グーフィス®投与前4週間に刺激性下剤の投与歴がある20歳以上の患者53例を対象とした。
2018年5月1日から2022年2月28日を調査対象期間として、グーフィス®投与開始前4週と投与後24週までのデータを患者の診療録より得て、後ろ向きに調査した。
評価項目 <有効性>
主要評価項目
グーフィス®投与開始前4週間と投与後9~12週の4週間の刺激性下剤の総投与量の比較
副次評価項目
  • 刺激性下剤の投与量の推移
  • グーフィス®の投与量の推移
  • 入院患者の頓用下剤の投与回数の推移
  • 入院患者の摘便回数の推移
  • 入院患者のグーフィス®投与開始前後1週間あたりの排便回数
  • グーフィス®投与前後の刺激性下剤の減量症例と増加症例における患者背景の比較
  • 刺激性下剤切替(グーフィス®投与開始時に刺激性下剤投与を中止した症例)、離脱(グーフィス®投与後、観察期間中に刺激性下剤投与を中止した症例)の集計
<安全性>
有害事象、副作用の発現率、中止率
解析計画
  • 主要評価項目について、評価時期における刺激性下剤の総投与量の要約統計量を算出し、対応のあるt検定を用いて比較した。
  • 副次評価項目について、各評価項目で要約統計量の算出を行い、投与開始前と投与後各時点との対応がある検定が可能なもの( 刺激性下剤の投与量の推移、グーフィス®の投与量の推移、入院患者の各種頓用下剤の投与回数の推移、入院患者のグーフィス®投与開始前後1週間あたりの排便回数)については、データの分布に応じて、対応のあるt検定、もしくはWilcoxonの符号順位検定を行った。
  • 有意水準は両側5%とした。
Limitation 本論文中にlimitationの記載はなかったが、診療録に基づく後ろ向きの調査であったこと、対象症例数が少なかったこと、グーフィス®投与前の便秘症治療薬として、刺激性下剤の他にも浸透圧性下剤、漢方薬、坐剤を投与された患者がいたことなどがlimitationとして考えられる。
C O I 当研究はEAファーマ株式会社及び持田製薬株式会社による資金提供を受けて実施された。

【4.効能又は効果】慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)
【6.用法及び用量】通常、成人にはエロビキシバットとして10mgを1日1回食前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、最高用量は1日15mgとする。

患者背景

平均年齢は58.3±15.5歳(Mean±SD)、精神疾患はうつ病38例(71.7%)、双極性障害7例(13.2%)、統合失調症49例(92.5%)、認知症9例(17.0%)、合併症は慢性腎不全4例(7.5%)、パーキンソン病1例(1.9%)であった。
グーフィス®投与開始前における便秘症治療薬として、刺激性下剤以外にも、浸透圧性下剤5例( 9.4%)、漢方薬6例(11.3%)、坐剤10例(18.9%)が使用されていた。
背景因子 n(%)
全症例 53
性別  
男性 18 (34.0)
女性 35 (66.0)
年齢(歳), Mean±SD 58.3±15.5
65歳以上 21 (39.6)
精神疾患(重複 有)  
うつ病 38 (71.7)
双極性障害 7 (13.2)
統合失調症 49 (92.5)
認知症 9 (17.0)
合併症 なし 48 (90.6)
合併症 あり 5 (9.4)
入院・外来  
外来のみ 11 (20.8)
投与前外来⇒投与後入院あり 7 (13.2)
投与前入院⇒投与後外来あり 14 (26.4)
入院のみ 21 (39.6)
便秘症治療薬(重複 有)  
浸透圧性下剤 5 (9.4)
刺激性下剤 53 (100)
漢方薬 6 (11.3)
坐剤 10 (18.9)
精神疾患治療薬(重複 有)  
抗うつ薬 23 (43.4)
抗精神病薬 35 (66.0)
認知症治療薬 3 (5.7)
その他 34 (64.2)
入院外来区分は, 投与開始時の区分で記載
宇野準二ら: 臨床精神薬理2023; 26(2): 197-206

試験成績(有効性)

グーフィス®投与開始前と投与後の刺激性下剤の総投与量の比較[主要評価項目]

グーフィス®投与開始前と投与後9~12週の各4週間での刺激性下剤総投与量については、刺激性下剤総投与量( Mean±SD)は、グーフィス®投与開始前4週間で455.5±439.7mg、グーフィス®投与後9~12週で303.6±380.1mgであり、有意に減少した(変化量-151.9±381.7mg、95%CI[-257.1, -46.7] p=0.005 対応のあるt検定)。
表:グーフィス®投与開始前4週間と投与後9~12週の刺激性下剤総投与量

グーフィス®投与開始前4週間と投与後9~12週の刺激性下剤総投与量

宇野準二ら: 臨床精神薬理2023; 26(2): 197-206

刺激性下剤、グーフィス®の投与量の推移[副次評価項目]

グーフィス®投与前後における4週間ごとの刺激性下剤、およびグーフィス®の1日換算の投与量†は下図のように推移した。刺激性下剤は、いずれの時点においてもグーフィス®投与前の16.3mgに比べ有意に減少した(投与後1-4週、5-8週、9-12週、13~16週 いずれもp<0.01、投与後17~20週、21~24週いずれもp<0.05、対応のあるt検定)。
†4週間での総使用量を28で除した量
表:グーフィス®と刺激性下剤の1日換算投与量

グーフィス®と刺激性下剤の1日換算投与量

宇野準二ら: 臨床精神薬理2023; 26(2): 197-206
また、グーフィス®の4週間ごとの5mg、10mg、15mgの最頻度投与量は下図のように推移した。
表:グーフィス®の4週ごとの最頻度投与量

グーフィス®の4週ごとの最頻度投与量

宇野準二ら: 臨床精神薬理2023; 26(2): 197-206

入院患者における、グーフィス®投与前後の頓用下剤投与回数の推移[副次評価項目]

1週間ごとの頓用下剤投与回数は、投与開始前1週の1.0±1.7(Mean±SD)から平均で0.2回~0.9回を推移しており、投与開始前1週と比較して、投与後6週、8週、10週、11週で有意差が認められた(6、8、10週 p<0.05、11週 p<0.01 対応のあるt 検定)。
表:入院患者における、グーフィス®投与前後の1週間あたりの頓用下剤投与回数

入院患者における、グーフィス®投与前後の1週間あたりの頓用下剤投与回数

宇野準二ら: 臨床精神薬理2023; 26(2): 197-206

入院患者における、グーフィス®投与前後の1週間あたりの排便回数[副次評価項目]

入院患者における、グーフィス®投与開始前後の1週間あたりの排便回数は、投与開始前1週の4.7±4.3(Mean±SD、以下同)から、投与後12週5.2±4.4回、投与後24週7.3±5.5回となり、投与開始前1週と比較して、投与後2週、5週、9週、16週で有意差が認められた(いずれもp<0.05 対応のあるt検定)。
表:入院患者における、グーフィス®投与前後の1週間あたりの排便回数

入院患者における、グーフィス®投与前後の1週間あたりの排便回数

宇野準二ら: 臨床精神薬理2023; 26(2): 197-206

解析集団全体の刺激性下剤の切替・離脱状況[副次評価項目]

グーフィス®投与開始時に刺激性下剤投与を中止した切替例は9例( 17.0%)、グーフィス®投与開始以降に刺激性下剤投与を中止した離脱例は18例(34.0%)であり、合計27例(51.0%)で刺激性下剤が不要となった。

刺激性下剤の切替・離脱例数

項目 カテゴリー 解析対象集団
刺激性下剤 切替・離脱 評価例数 53
刺激性下剤 切替 9 (17.0%)
刺激性下剤 離脱 18 (34.0%)
該当せず 26 (49.1%)
宇野準二ら: 臨床精神薬理2023; 26(2): 197-206

試験成績(安全性)

有害事象は2例(3.8%)2件が認められた。このうち1件(糞便性イレウス)は軽度かつ非重篤であり、グーフィス®との因果関係はなかった。残る1件(下痢)は中等度かつ非重篤であり、グーフィス®投与中止により回復しており、グーフィス®との因果関係がある副作用であった。また、死亡例の有無については論文中に記載がなかった。
グーフィス®投与12週以降24週までの累積中止例数は10例(18.9%)であった。中止理由は転院5例(9.4%)、便秘状況の改善2例(3.8%)、効果不十分1例(1.9%)、有害事象(下痢)1例、受診なし1例(1.9%)であった。

2024年9月作成

治療抵抗性患者に対するグーフィス®の有効性と安全性

【監修】尼崎園田えぐち内科・内視鏡クリニック 院長 江口 考明 先生

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精神疾患外来患者の便秘症状に対するエロビキシバットの有用性評価:単施設・後向き観察研究

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認知症患者の慢性便秘症に対するグーフィス®導入に関するエビデンス

【監修】横浜市立大学大学院医学研究科 肝胆膵消化器病学 主任教授 中島 淳 先生

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【記事版】パーキンソン病患者の慢性便秘症に対するグーフィス®の有効性と安全性

【監修】順天堂大学医学部 神経学講座 先任准教授 波田野 琢 先生

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心不全患者の慢性便秘症に対するグーフィス®の有効性と安全性

【監修】熊本大学大学院生命科学研究部循環器内科学 教授 辻田 賢一 先生

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グーフィス® 夕食前投与による日本人慢性便秘患者の後ろ向き観察研究

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【監修】川崎医科大学 検査診断学(内視鏡・超音波) 教授 眞部 紀明 先生

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胆汁酸とグーフィス®の作用

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グーフィス®錠5mg 特定使用成績調査 中間結果報告

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グーフィス®錠5mg 国内長期投与試験

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