【監修】桶狭間病院藤田こころケアセンター 藤田 潔 先生
監修者コメント
刺激性下剤が投与されている、慢性便秘症を合併した精神疾患患者に対して、グーフィス®を投与したところ、2週、5週、9週、16週で排便回数が投与前に比べて有意に増加し、刺激性下剤の投与量も減少した。
精神疾患と便秘症は関連しやすく、精神疾患患者には慢性便秘症を合併し、刺激性下剤などの便秘症治療薬の投与を受けている患者が多いと考えられる。
慢性便秘症診療ガイドライン2017では、刺激性下剤は慢性便秘症に対して有効であるが、長期連用により耐性が出現して難治性便秘になることがあり注意が必要であるとし、頓用または短期間の投与を提案している。
当研究により、グーフィス®は、慢性便秘症を合併する精神疾患患者の刺激性下剤の使用量減少に寄与できる可能性があることが示唆された。
目的 | 慢性便秘症を合併し刺激性下剤を服用している精神疾患患者に対して、グーフィス®を投与した際の刺激性下剤の使用状況の変化を調査すること。 |
対象・方法 | 桶狭間病院藤田こころケアセンターにて精神疾患の治療を入院あるいは通院により受けている患者で、慢性便秘症と診断され、2018年6月1日から2021年11月30日の間にグーフィス®の初回投与を受け、以後12週間以上の継続が確認されており、また、グーフィス®投与前4週間に刺激性下剤の投与歴がある20歳以上の患者53例を対象とした。 2018年5月1日から2022年2月28日を調査対象期間として、グーフィス®投与開始前4週と投与後24週までのデータを患者の診療録より得て、後ろ向きに調査した。 |
評価項目 | <有効性> 主要評価項目 グーフィス®投与開始前4週間と投与後9~12週の4週間の刺激性下剤の総投与量の比較 副次評価項目
有害事象、副作用の発現率、中止率 |
解析計画 |
|
Limitation | 本論文中にlimitationの記載はなかったが、診療録に基づく後ろ向きの調査であったこと、対象症例数が少なかったこと、グーフィス®投与前の便秘症治療薬として、刺激性下剤の他にも浸透圧性下剤、漢方薬、坐剤を投与された患者がいたことなどがlimitationとして考えられる。 |
C O I | 当研究はEAファーマ株式会社及び持田製薬株式会社による資金提供を受けて実施された。 |
【4.効能又は効果】慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)
【6.用法及び用量】通常、成人にはエロビキシバットとして10mgを1日1回食前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、最高用量は1日15mgとする。
背景因子 | n(%) |
---|---|
全症例 | 53 |
性別 | |
男性 | 18 (34.0) |
女性 | 35 (66.0) |
年齢(歳), Mean±SD | 58.3±15.5 |
65歳以上 | 21 (39.6) |
精神疾患(重複 有) | |
うつ病 | 38 (71.7) |
双極性障害 | 7 (13.2) |
統合失調症 | 49 (92.5) |
認知症 | 9 (17.0) |
合併症 なし | 48 (90.6) |
合併症 あり | 5 (9.4) |
入院・外来 | |
外来のみ | 11 (20.8) |
投与前外来⇒投与後入院あり | 7 (13.2) |
投与前入院⇒投与後外来あり | 14 (26.4) |
入院のみ | 21 (39.6) |
便秘症治療薬(重複 有) | |
浸透圧性下剤 | 5 (9.4) |
刺激性下剤 | 53 (100) |
漢方薬 | 6 (11.3) |
坐剤 | 10 (18.9) |
精神疾患治療薬(重複 有) | |
抗うつ薬 | 23 (43.4) |
抗精神病薬 | 35 (66.0) |
認知症治療薬 | 3 (5.7) |
その他 | 34 (64.2) |
グーフィス®投与開始前4週間と投与後9~12週の刺激性下剤総投与量
グーフィス®と刺激性下剤の1日換算投与量
グーフィス®の4週ごとの最頻度投与量
入院患者における、グーフィス®投与前後の1週間あたりの頓用下剤投与回数
入院患者における、グーフィス®投与前後の1週間あたりの排便回数
項目 | カテゴリー | 解析対象集団 |
---|---|---|
刺激性下剤 切替・離脱 | 評価例数 | 53 |
刺激性下剤 切替 | 9 (17.0%) | |
刺激性下剤 離脱 | 18 (34.0%) | |
該当せず | 26 (49.1%) |
2024年9月作成
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