治療抵抗性患者に対するグーフィス®の有効性と安全性

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【監修】尼崎園田えぐち内科・内視鏡クリニック 院長 江口 考明 先生
このページでは、下記2つの臨床試験の結果をご紹介いたします。
◆ 試験① 国内第Ⅲ相試験(簡易版)
◆ 試験② 治療抵抗性患者に対するグーフィス®の有効性と安全性

「禁忌を含む注意事項等情報」等は、Drug Informationをご参照ください。

試験① 国内第Ⅲ相試験(簡易版)

試験概要

試験デザイン プラセボ対照無作為化二重盲検多施設共同並行群間比較試験
目的 慢性便秘症患者を対象にグーフィス®10mg又はプラセボを1日1回14日間経口投与し、投与期間第1週における自発排便回数の観察期間第2週からの変化量を主要評価項目とした二重盲検比較試験において、グーフィス®のプラセボに対する優越性を検証すると共に、安全性を検討することを目的とした。
対象 慢性便秘症患者133例(有効性解析対象〔FAS*1)〕:132例、安全性解析対象:132例)RomeⅢの機能性便秘の診断基準を参考として、同意取得時の6ヵ月以上前から自発排便回数が平均3回/週未満であり、かつ自発排便に関連した、①排便の25%以上にいきみがある、②排便の25%以上に兎糞状便又は硬便がある、③排便の25%以上に残便感がある、の3つのうち1つ以上の症状を有している慢性便秘症患者を対象とした。
プラセボ群:63例、グーフィス®10mg群:69例
投与方法 治験薬投与開始前の排便回数の調査期間として2週間の観察期間を設定した後、1日1回朝食前にグーフィス®10mg又はプラセボを14日間経口投与した。被験者は定められた時期に来院し、外来で観察・検査等が行われた。
評価項目 〈有効性に関する評価項目〉
主要評価項目(検証的解析項目)
  • 自発排便回数の変化量〔観察期間第2週 vs. 投与期間第1週〕(FAS)
〈安全性に関する評価項目〉
  • 副作用発現率
  • 臨床検査値
解析計画 主要評価項目である投与期間第1週における自発排便回数の観察期間第2週からの変化量*2)について、FASを解析対象とし観察期間第2週の自発排便回数を共変量とした共分散分析(ANCOVA)を適用した。
自発排便回数、完全自発排便回数については要約統計量を算出した。
●検証的な解析以外で得られたp値を名目上のp値とした。

自発排便:下剤/浣腸あるいは摘便なしに発現する排便。本治験においては、観察期間開始前日に下剤を使用した場合、又は観察期間開始後に救済薬(ビサコジル坐剤10mg)を使用した場合、使用後24時間以内の排便は自発排便としない。
完全自発排便:残便感のない自発排便
排便回数:「トイレに入ってから出るまでに生じた排便」を1回とカウントした(例:一度排便し、少し時間があいて再度排便した場合でも、トイレから出ていなければ1回とカウントする)。一方、排便後にトイレを出て再びトイレに入って排便した場合は、別々の排便としてカウントした。

*1)FAS:Full Analysis Set(最大の解析対象集団)治験薬が1回以上投与され、何らかの有効性に関する観測値を持つすべての被験者による集団を「最大の解析対象集団」とした。なお、排便回数の各週の評価可能日が5日未満の場合には、該当週の排便回数は欠測値として扱った。
*2)変化量=観察期間第2週データをベースライン値とした。

有効性

自発排便回数の変化量〔観察期間第2週 vs. 投与期間第1週〕(FAS)[主要評価項目(検証的解析項目)]

投与期間第1週における自発排便回数の観察期間第2週からの変化量(Mean±SD)は、プラセボ群1.73±1.88回、グーフィス®群6.40±4.73回であり、グーフィス®群はプラセボ群に対して自発排便回数の変化量が有意に大きく優越性が検証された(検証的解析結果、p<0.0001、共分散分析)。
〈主要評価項目(検証的解析結果)〉自発排便回数の変化量(観察期間第2週 vs. 投与期間第1週)
グラフ/縦軸が変化量(回/週)、横軸がプラセボ群 n=63、グーフィスⓇ10mg群 n=67
自発排便回数(観察期間第2週及び投与期間第1週)
グラフ/縦軸が回数(回/週)、横軸がプラセボ群 n=63/グーフィスⓇ10mg群 n=67/観察期間第2週、プラセボ群 n=63/グーフィスⓇ10mg群 n=67/投与期間第1週

安全性

副作用発現率

副作用の発現率は、プラセボ群7.9%(5/63例)、グーフィス®群30.4%(21/69例)であった。
いずれかの群で5%以上発現した副作用は、下表の通りであった。
本試験において死亡例を含む重篤な副作用は、いずれの投与群においても認められなかった。投与中止に至った副作用はプラセボ群0例、グーフィス®群4例9件(腹痛、下痢各4件、悪心1件)で認められた。
いずれかの群で5%以上発現した副作用
表/縦軸が副作用の種類、腹痛、下痢、横軸がプラセボ群 (n=63)、グーフィスⓇ10mg群 (n=69)

臨床検査値

血清LDL-コレステロール濃度(Mean±SD)は、本登録日、2週来院時(中止日)の順に、プラセボ群において113.4±31.5mg/dL、114.9±31.4mg/dL、グーフィス®群117.9±29.9mg/dL、104.5±25.9mg/dLであった。
血清LDL-コレステロール濃度
グラフ/縦軸がLDL-コレステロール、横軸がプラセボ群 n=63/グーフィスⓇ10mg群 n=69/本登録日、プラセボ群 n=63/グーフィスⓇ10mg群 n=67/2週来院時(中止日)

試験② 治療抵抗性患者に対するグーフィス®の有効性と安全性

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Eguchi T, et al.:JGH Open 2024;8:e70019 doi:10.1002/jgh3.70019 
COI:著者に持田製薬株式会社の社員が含まれている。当研究は持田製薬株式会社、EAファーマ株式会社の資金提供により行われた。
【監修】尼崎園田えぐち内科・内視鏡クリニック 院長 江口 考明 先生

試験概要

目的 先行投与下剤に治療抵抗性の慢性便秘症患者に対する、グーフィス®の有効性と安全性を検討すること。
対象 大阪府済生会中津病院にて、2018年4月~2022年6月の間にグーフィス®投与を受け、下記組み入れ条件を満たした患者311例。
〈組み入れ条件〉
  1. )18歳以上
  2. )先行投与下剤(酸化マグネシウム、刺激性下剤、上皮機能変容薬 等または漢方薬)による治療を行ったが、以下のRome Ⅳ診断基準のうち少なくとも2つ以上を満たし、医師により有効性及び安全性の観点から不適と判定された患者
    ●排便回数の減少(週3回未満) ●排便の1/4の頻度で残便感がある ●排便の1/4の頻度で硬便がみられる ●排便の1/4の頻度で排便困難がみられる
  3. )Rome Ⅳ診断基準により慢性便秘症と診断され、先行投与下剤を少なくとも1週間以上処方されたのちグーフィス®を投与され、少なくとも2週間の治療経過、治療前後の排便回数が記録されている患者
  4. )グーフィス®に対する過敏症がない患者
  5. )腸閉塞のない患者
  6. )グーフィス®の処方が承認された効能・効果、用法・用量を逸脱しておらず、観察期間(ベースライン時から2週までの期間)中の投与を受けていた患者
  7. )観察期間中の介入研究も含め、他の臨床試験に参加していない患者
方法 診療録データベースより患者の年齢、性別、合併症、先行投与下剤、主愁訴、過去1~2週間のブリストル便形状スケール(BSFS)に基づく便硬度を含むデータセットを入手し、後ろ向きに解析した。
〈薬剤の投与方法〉
  • 全ての下剤(消化管運動機能改善薬を除く)は、承認用量にて処方、投与された
  • グーフィス®は、1日1回10mgを食前服用とした。なお、症状の程度に応じて、5~15mgの間で用量調節可とした。
  • 先行投与下剤からグーフィス®への切り替えまたはアドオンは、先行投与下剤で症状の改善がみられなかった、症状が悪化した、先行投与下剤の有害事象が認められたなどの基準に基づいて決定された。
  • グーフィス®投与中の併用薬の中止基準は、過度の排便、度々の排便、併用下剤による有害事象が推定されることを含めた。先行投与下剤の中止は、患者と医師の判断に委ねた。
※消化管運動機能改善薬は慢性便秘症の効能又は効果を有していない
評価項目 主要評価項目
①グーフィス®投与後2週時における自発排便回数のベースライン時からの変化
②グーフィス®投与後2週時における自発排便回数のベースライン時からの変化が1回/週以上であり、グーフィス®投与後2週時の自発排便回数が3回/週以上の患者の割合(レスポンダー率)
副次評価項目
  • BSFSに基づく便硬度、腹部症状(残便感、いきみ、腹痛、腹部膨満感、排便困難感、悪心)の有無についてのベースライン時とグーフィス®投与後2週時との比較
  • 観察期間中の先行投与下剤の中止率
  • 自発排便回数、BSFSに基づく便硬度、残便感についての、グーフィス®投与前後の比較(サブグループ解析)
その他の評価項目
  • レスポンダーステイタス、および副作用の有無に影響を与える因子の探索
  • 有害事象、副作用の発現率、グーフィス®の中止率
解析計画
  • 自発排便回数の変化の比較には対応のあるt検定、BSFSに基づく便硬度の比較にはWilcoxon符号付順位検定、残便感、いきみ、腹痛、腹部膨満感、排便困難感、悪心の変化の比較にはMcNemar検定を用いた。
  • レスポンダーであるか否かおよび副作用の有無を結果変数とし、年齢(65歳以上または65歳未満)、性別、合併症の有無、グーフィス®処方前の各種先行投与下剤の使用の有無、グーフィス®処方前に使用した先行投与下剤の種類(1種類、2種類、または3種類以上)を説明変数として、ロジスティック回帰モデルを当てはめることにより、オッズ比とその95%信頼区間(CI)を推定した。
  • 自発排便回数、BSFSに基づく便硬度、残便感についての、グーフィス®投与前後の比較は、事前に規定したサブグループ(年齢:65歳以上・65歳未満、性別:男・女、ベースライン時の自発排便回数:3回/週以上・3回/週未満、ベースライン時のBSFSに基づく便硬度:1~2型・3~5型・6~7型、合併症:心血管疾患・癌・糖尿病・腹部術後・脳梗塞/脳出血・認知症・オピオイド服用、先行投与下剤:浸透圧性下剤・酸化マグネシウム・刺激性下剤・上皮機能変容薬・漢方薬・坐剤/浣腸・消化管運動機能改善薬・上皮機能変容薬+浸透圧性下剤・上皮機能変容薬+酸化マグネシウム・上皮機能変容薬+刺激性下剤)によって層化したサブグループ解析を行った。
  • p<0.05を統計的に有意とした。
Limitation
  • 単施設後ろ向きの研究であった。
  • ほとんどの患者は下剤に対する耐性を獲得することにより、時間の経過とともにその効果が低下する。当研究ではグーフィス®投与後2週時の結果を評価していることから、先行投与下剤と比較して優れた効果を示した可能性がある。
  • 当研究結果は2週間という短期間の治療から得られた結果であり、グーフィス®の長期投与が他の下剤よりも効果的であるかどうかは不明である。
  • 当研究では、グーフィス®の蠕動運動、便意、QOLに対する影響を評価できなかった。
  • 当研究は日本国内で行われたものであり、結果は人種や背景により異なる可能性がある。
●検証的な解析以外で得られたp値を名目上のp値とした。

結果

患者背景(n=311)

表/先行投与下剤(慢性便秘)[n(%)]、合併性[n(%)]
Eguchi T, et al.:JGH Open 2024;8:e70019 doi:10.1002/jgh3.70019
※消化管運動機能改善薬は慢性便秘症の効能又は効果を有していない

グーフィス®投与後2週時における自発排便回数のベースライン時からの変化、自発排便回数のレスポンダー率[主要評価項目]

グラフ/縦軸が自発排便回数、横軸がベースライン時、投与後2週時
Eguchi T, et al.:JGH Open 2024;8:e70019 doi:10.1002/jgh3.70019
週あたりの自発排便回数(Mean±SD)は、ベースライン時2.9±1.9、グーフィス®投与後2週時4.3±1.9であり、有意な増加が認められた(p<0.0001、名目上のp値、対応のあるt検定)。
また、自発排便回数のレスポンダー率は60.1%(187/311)であった。

グーフィス®投与後2週時におけるBSFSに基づく便硬度のベースライン時からの変化[副次評価項目]

グラフ/患者の割合、横軸がベースライン時、投与後2週時
Eguchi T, et al.:JGH Open 2024;8:e70019 doi:10.1002/jgh3.70019
BSFSに基づく便硬度(Mean±SD)は、ベースライン時3.2±1.7、グーフィス®投与後2週時4.4±1.4であり、有意な増加が認められた(p<0.0001、名目上のp値、Wilcoxon符号付順位検定)。
硬便である1~2型の割合は、ベースライン時51.6%(64/124)、グーフィス®投与後2週時10.3%(14/136)、普通便である3~5型の割合は、ベースライン時34.7%(43/124)、グーフィス®投与後2週時69.1%(94/136)、軟便である6~7型はベースライン時13.7%(17/124)、グーフィス®投与後2週時20.6%(28/136)と変化した。

腹部症状(残便感、いきみ、腹痛、腹部膨満感、排便困難感、悪心)の有無についてのベースライン時とグーフィス®投与後2週時との比較[副次評価項目]

残便感、いきみ、腹痛および腹部膨満感、排便困難感の有無については、ベースライン時と比較して、グーフィス®投与後2週時に「なし」とした患者が有意に増加した(いきみ、腹痛以外いずれもp<0.0001、いきみp=0.0001、腹痛p=0.0201、いずれも名目上のp値、いずれもMcNemar検定)。
悪心については有意差が認められなかった(p=0.3173、名目上のp値、McNemar検定)。
グラフ/縦軸が患者の割合、横軸が残便感、いきみ、腹痛、腹部膨満感、排便困難感、悪心
Eguchi T, et al.:JGH Open 2024;8:e70019 doi:10.1002/jgh3.70019

観察期間中のグーフィス®以外の投与下剤の中止率[副次評価項目]

※再投与した下剤を含む
観察期間中、43.9±40.7%(Mean±SD)の下剤が中止された。坐剤/浣腸は78.5%(51/65)、刺激性下剤は62%(103/166)が中止した。また、グーフィス®投与前に42例が全ての下剤を中止した。
グラフ/縦軸がグーフィス®以外の投与下剤の中止率、横軸が浸透圧性下剤、酸化マグネシウム、刺激性下剤、上皮機能変容薬、消化管運動機能改善薬、坐剤/浣腸、漢方薬
Eguchi T, et al.:JGH Open 2024;8:e70019 doi:10.1002/jgh3.70019 より作図

●各薬剤の使用にあたっては、電子添文をご確認ください。

便通異常症診療ガイドライン2023‒慢性便秘症におけるグーフィス®の位置づけ

フローチャート2

注1)マグネシウム製剤は, 高齢者や腎機能低下者には注意. 血清マグネシウム値をモニタリングする. 保医発により, 保険診療上,糖類下剤のラクツロース製剤とPEG(polyethylene glycol)は, 従来薬を投与した後, 効果不十分の場合に投与可能である.
注2)高齢者など患者の病態に応じて投与する. 他の治療薬との併用も可である.
注3)オンデマンド療法が頻回になる場合は治療薬の変更を考慮する.
注4)他の治療薬との併用も可である.

「日本消化管学会編, 便通異常症診療ガイドライン2023‒慢性便秘症, 南江堂, 2023, p.xxiii」より許諾を得て転載
A2, Bはガイドラインを参照すること.
プロバイオティクス、消化管運動機能改善薬は慢性便秘症の効能又は効果を有していない

自発排便回数、BSFSに基づく便硬度、残便感についてのサブグループ解析[副次評価項目]

グーフィス®投与後2週時の自発排便回数、BSFSに基づく便硬度、残便感のベースライン時との比較についてのサブグループ解析は、以下のような結果であった。
年齢、性別、ベースライン時の自発排便回数、ベースライン時のBSFSに基づく便硬度、合併症で層別化したサブグループ解析先行投与下剤で層別化したサブグループ解析
年齢グラフ/自発排便回数、BSFSに基づく便硬度、残便感を感じる割合と性別グラフ/自発排便回数、BSFSに基づく便硬度、残便感を感じる割合
Eguchi T, et al.:JGH Open 2024;8:e70019 doi:10.1002/jgh3.70019 より作図
浸透圧性下剤グラフ/自発排便回数、BSFSに基づく便硬度、残便感を感じる割合と酸化マグネシウムグラフ/自発排便回数、BSFSに基づく便硬度、残便感を感じる割合
Eguchi T, et al.:JGH Open 2024;8:e70019 doi:10.1002/jgh3.70019 より作図
ベースライン時の自発排便回数グラフ/自発排便回数、BSFSに基づく便硬度、残便感を感じる割合とベースライン時のBSFSに基づく便硬度グラフ/自発排便回数、BSFSに基づく便硬度
Eguchi T, et al.:JGH Open 2024;8:e70019 doi:10.1002/jgh3.70019 より作図
刺激性下剤グラフ/自発排便回数、BSFSに基づく便硬度、残便感を感じる割合と上皮機能変容薬グラフ/自発排便回数、BSFSに基づく便硬度
Eguchi T, et al.:JGH Open 2024;8:e70019 doi:10.1002/jgh3.70019 より作図
表/患者の特性(ベースライン時のBSFS に基づく便硬度、合併症)、自発排便回数 Mean±SD,(n)、BSFSに基づく便硬度 Mean±SD,(n)、残便感を感じる割合 %(n/N)
*p<0.05、名目上のp値、(自発排便回数:対応のあるt検定、 BSFSに基づく便硬度:Wilcoxon符号付順位検定、 残便感を感じる割合:McNemar検定)
Eguchi T, et al.:JGH Open 2024;8:e70019 doi:10.1002/jgh3.70019 より作表
表/患者の特性(漢方薬、坐剤/浣腸、消化管運動機能改善薬、上皮機能変容薬+浸透圧性下剤、上皮機能変容薬+酸化マグネシウム、上皮機能変容薬+刺激性下剤)、自発排便回数 Mean±SD,(n)、BSFSに基づく便硬度 Mean±SD,(n)、残便感を感じる割合 %(n/N)
*p<0.05、名目上のp値、(自発排便回数:対応のあるt検定、 BSFSに基づく便硬度:Wilcoxon符号付順位検定、 残便感を感じる割合:McNemar検定)
Eguchi T, et al.:JGH Open 2024;8:e70019 doi:10.1002/jgh3.70019 より作表

●各薬剤の使用にあたっては、電子添文をご確認ください。

レスポンダーステイタス、および副作用の有無に影響を与える因子の探索[その他の評価項目]

レスポンダーステイタス、および副作用と、各種因子(年齢、性別、合併症の有無、各先行投与下剤使用の有無、先行投与下剤の数)との間に有意な関連性は認められなかった(ロジスティック回帰分析)。

安全性

有害事象発現率は6.1%(19/311;20件)であり、内訳は下痢3.9%(12/311)、腹痛1.6%(5/311)、腹部膨満0.6%(2/311)、悪心0.3%(1/311)であった。これらのうち、少なくともグーフィス®に関連する可能性があると考えられる副作用の発現率は、腹痛の1例を除いた5.8%(18/311)であった。死亡例はなかった。いずれの副作用も軽度-中等度であり、重篤なものは認められなかった。また、いずれもグーフィス®の減量、または投与中止により回復した。
有害事象により12例が投与中止に至った。内訳は下痢7件、腹痛3件、腹部膨満2件、悪心1件であった。また、便秘の改善により、22例が投与を中止した。

●安全性情報については最新の電子添文をご参照ください。

監修者コメント

先行投与下剤で治療抵抗性の慢性便秘症患者に対するグーフィス®の有効性と安全性を、診療録データベースを基に検討した。
グーフィス®投与後2週時の自発排便回数はベースラインに比べ有意な増加が認められ(p<0.0001、名目上のp値、対応のあるt検定)、また、レスポンダー率は60.1%(187/311)であり、先行投与下剤で治療抵抗性の慢性便秘症患者に対してグーフィス®は有効である可能性が示唆された(主要評価項目)。
また、当研究では、自発排便回数、BSFSに基づく便硬度、残便感についての、グーフィス®投与前後の比較を、年齢、性別、ベースライン時の自発排便回数、ベースライン時のBSFSに基づく便硬度、合併症といった患者背景別、及び先行投与下剤別で層化したサブグループ解析も実施した。その結果、自発排便回数について、ベースライン時のBSFSの6~7型以外のすべてのサブグループについて有意差が認められた(すべてp<0.05、名目上のp値、対応のあるt検定)。
安全性については、少なくともグーフィス®に関連する可能性があると考えられる副作用の発現率は5.8%(18/311)であり、内訳は、下痢3.9%(12/311)、腹痛1.3%(4/311)、腹部膨満0.6%(2/311)、悪心0.3%(1/311)であった。
グーフィス®は、大腸内に流入する胆汁酸の量を増加させる機序1~3)により、①水分分泌の促進、②大腸運動の促進、③便意の促進といった3つの排便促進作用(Triple action)をもたらす1,4~8)。今回の知見によりグーフィス®は、多様な背景的要因をもつ治療抵抗性の慢性便秘症患者に対する治療選択肢の一つになりうると考えられる。

1) Acosta A, Camilleri M: Ther Adv Gastroenterol 2014; (4): 167-175(著者のCamilleriはエロビキシバットの創薬会社であるアルビレオ社より研究助成金を受領している。)
2) EAファーマ株式会社:社内資料(胆汁酸トランスポーターに対する作用)
3) EAファーマ株式会社:社内資料(胆汁酸吸収に対する作用)
4) Mekhjian HS, et al.: J Clin Invest 1971; 50: 1569-1577
5) Mitchell WD, et al.: Gut 1973; 14(5): 348-353
6) Bunnet NW: J Physiol 2014; 592: 2943-2950
7) 眞部紀明, 春間賢: 肝胆膵 2018; 77(1): 65-69
8) Bampton PA, et al.: Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol 2002; 282(3): G443-G449

刺激性下剤が投与されている、慢性便秘症注)を合併した精神疾患患者に対するグーフィス®投与の影響

宇野準二ら: 臨床精神薬理2023; 26(2): 197-206 COI:当研究はEAファーマ株式会社及び持田製薬株式会社による資金提供を受けて実施された。
注)グーフィス®の【4.効能又は効果】慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)

調査概要

目的 慢性便秘症を合併し刺激性下剤を服用している精神疾患患者に対して、グーフィス®を投与した際の刺激性下剤の使用状況の変化を調査すること。
対象・方法 桶狭間病院藤田こころケアセンターにて精神疾患の治療を入院あるいは通院により受けている患者で、慢性便秘症と診断され、2018年6月1日から2021年11月30日の間にグーフィス®の初回投与を受け、以後12週間以上の継続が確認されており、また、グーフィス®投与前4週間に刺激性下剤※の投与歴がある20歳以上の患者53例を対象とした。
2018年5月1日から2022年2月28日を調査対象期間として、グーフィス®投与開始前4週と投与後24週までのデータを患者の診療録より得て、後ろ向きに調査した。
評価項目 〈有効性〉
主要評価項目

グーフィス®投与開始前4週間と投与後9~12週の4週間の刺激性下剤の総投与量の比較
副次評価項目
  • 刺激性下剤の投与量の推移
  • グーフィス®の投与量の推移
  • 入院患者の頓用下剤の投与回数の推移
  • 入院患者のグーフィス®投与開始前後1週間あたりの排便回数
  • 刺激性下剤切替(グーフィス®投与開始時に刺激性下剤投与を中止した症例)、離脱(グーフィス®投与後、観察期間中に刺激性下剤投与を中止した症例)の集計 等
〈安全性〉
  • 有害事象、中止率
解析計画
  • 主要評価項目について、評価時期における刺激性下剤の総投与量の要約統計量を算出し、対応のあるt検定を用いて比較した。
  • 副次評価項目について、各評価項目で要約統計量の算出を行い、投与開始前と投与後各時点との対応がある検定が可能なもの(刺激性下剤の投与量の推移、グーフィス®の投与量の推移、入院患者の各種頓用下剤の投与回数の推移、入院患者のグーフィス®投与開始前後1週間あたりの排便回数)については、データの分布に応じて、対応のあるt検定、もしくはWilcoxonの符号付順位検定を行った。
  • 有意水準は両側5%とした。
Limitation 本論文中にlimitationの記載はなかったが、診療録に基づく後ろ向きの調査であったこと、対象症例数が少なかったこと、グーフィス®投与前の便秘症治療薬として、刺激性下剤の他にも浸透圧性下剤、漢方薬、坐剤を投与された患者がいたことなどがlimitationとして考えられる。
●検証的な解析以外で得られたp値を名目上のp値とした。

患者背景

平均年齢は58.3±15.5歳(Mean±SD)、精神疾患はうつ病38例(71.7%)、双極性障害7例(13.2%)、統合失調症49例(92.5%)、認知症9例(17.0%)、合併症は慢性腎不全4例(7.5%)、パーキンソン病1例(1.9%)であった。
グーフィス®投与開始前における便秘症治療薬として、刺激性下剤以外にも、浸透圧性下剤5例(9.4%)、漢方薬6例(11.3%)、坐剤10例(18.9%)(それぞれ重複あり)が使用されていた。
  • 表/背景因子(全症例、性別、年齢(歳), Mean±SD、65歳以上、精神疾患(重複 有)、合併症 なし、合併症 あり
    入院外来区分は、投与開始時の区分で記載
  • 表/入院・外来、便秘症治療薬(重複 有)、精神疾患治療薬(重複 有)
    宇野準二ら: 臨床精神薬理 2023; 26(2): 197-206

●安全性情報については最新の電子添文をご参照ください。

4. 効能又は効果 慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)
6. 用法及び用量 通常、成人にはエロビキシバットとして10mgを1日1回食前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、最高用量は1日15mgとする。

有効性

グーフィス®投与開始前と投与後の刺激性下剤の総投与量の比較[主要評価項目]

グーフィス®投与開始前4週間と投与後9~12週の刺激性下剤総投与量
グラフ/縦軸が刺激性下剤総投与量、横軸が投与開始前4週間、投与後9-12週
グーフィス®投与開始前と投与後9~12週の各4週間での刺激性下剤総投与量については、刺激性下剤総投与量(Mean±SD)は、グーフィス®投与開始前4週間で455.5±439.7mg、グーフィス®投与後9~12週で303.6±380.1mgであり、有意に減少した(変化量-151.9±381.7mg、95%CI[-257.1,-46.7]p=0.005、名目上のp値、対応のあるt検定)。
宇野準二ら: 臨床精神薬理 2023; 26(2): 197-206

刺激性下剤、グーフィス®の投与量の推移[副次評価項目]

グーフィス®と刺激性下剤の1日換算投与量
グラフ/縦軸が刺激性下剤の投与量、グーフィス®の投与量、横軸が投与開始前4週間、投与後1-4週、投与後5-8週、投与後9-12週、投与後13-16週、投与後17-20週、投与後21-24週
*:p<0.05, **:p<0.01, 名目上のp値(vs.投与開始前;対応のあるt検定)
グーフィス®投与前後における4週間ごとの刺激性下剤、およびグーフィス®の1日換算の投与量は上図のように推移した。刺激性下剤は、いずれの時点においてもグーフィス®投与前の16.3mgに比べ有意に減少した(投与後1-4週、5-8週、9-12週、13-16週いずれもp<0.01、投与後17-20週、21-24週いずれもp<0.05、名目上のp値、対応のあるt検定)。
†4週間での総使用量を28で除した量
宇野準二ら: 臨床精神薬理 2023; 26(2): 197-206
〈参考〉グーフィス®の4週ごとの最頻度投与量
グラフ/縦軸が投与例数の割合、横軸が投与後1-4週、投与後5-8週、投与後9-12週、投与後13-16週、投与後17-20週、投与後21-24週
また、グーフィス®の4週間ごとの5mg、10mg、15mgの最頻度投与量は上図のように推移した。
宇野準二ら: 臨床精神薬理 2023; 26(2): 197-206

入院患者における、グーフィス®投与前後の頓用下剤投与回数の推移[副次評価項目]

入院患者における、グーフィス®投与前後の1週間あたりの頓用下剤投与回数
グラフ/縦軸が投与回数、横軸が投与開始前1週、投与後1週、投与後2週、投与後3週、投与後4週、投与後5週、投与後6週、投与後7週、投与後8週、投与後9週、投与後10週、投与後11週、投与後12週、投与後13週、投与後14週、投与後15週、投与後16週、投与後17週、投与後18週、投与後19週、投与後20週、投与後21週、投与後22週、投与後23週、投与後24週
*:p<0.05, **:p<0.01, いずれも名目上のp値(vs.投与開始前1週;対応のあるt検定)
1週間ごとの頓用下剤投与回数は、投与開始前1週の1.0±1.7(Mean±SD)から平均で0.2回~0.9回を推移しており、投与開始前1週と比較して、投与後6週、8週、10週、11週で有意差が認められた(6、8、10週 p<0.05、11週 p<0.01、いずれも名目上のp値、対応のあるt検定)。
宇野準二ら: 臨床精神薬理 2023; 26(2): 197-206

入院患者における、グーフィス®投与前後の1週間あたりの排便回数[副次評価項目]

入院患者における、グーフィス®投与前後の1週間あたりの排便回数
グラフ/縦軸が排便回数、横軸が投与開始前1週、投与後1週、投与後2週、投与後3週、投与後4週、投与後5週、投与後6週、投与後7週、投与後8週、投与後9週、投与後10週、投与後11週、投与後12週、投与後13週、投与後14週、投与後15週、投与後16週、投与後17週、投与後18週、投与後19週、投与後20週、投与後21週、投与後22週、投与後23週、投与後24週
*:p<0.05, 名目上のp値(vs.投与開始前1週;対応のあるt検定)
入院患者における、グーフィス®投与開始前後の1週間あたりの排便回数は、投与開始前1週の4.7±4.3(Mean±SD、以下同)から、投与後12週5.2±4.4回、投与後24週7.3±5.5回となり、投与開始前1週と比較して、投与後2週、5週、9週、16週で有意差が認められた(いずれもp<0.05、名目上のp値、対応のあるt検定)。
宇野準二ら: 臨床精神薬理 2023; 26(2): 197-206

解析集団全体の刺激性下剤の切替・離脱状況[副次評価項目]

刺激性下剤の切替・離脱例数
表/項目(刺激性下剤 切替・離脱)カテゴリー(評価例数、刺激性下剤 切替、刺激性下剤 離脱、該当せず)解析対象集団(53、9 (17.0%)、18 (34.0%)、26 (49.1%))
グーフィス®投与開始時に刺激性下剤投与を中止した切替例は9例(17.0%)、グーフィス®投与開始以降に刺激性下剤投与を中止した離脱例は18例(34.0%)であり、合計27例(51.0%)で刺激性下剤が不要となった。
宇野準二ら: 臨床精神薬理 2023; 26(2): 197-206

安全性

有害事象は2例(3.8%)2件が認められた。このうち1件(糞便性イレウス)は軽度かつ非重篤であり、グーフィス®との因果関係はなかった。残る1件(下痢)は中等度かつ非重篤であり、グーフィス®投与中止により回復しており、グーフィス®との因果関係がある副作用であった。また、死亡例はなかった。
グーフィス®投与12週以降24週までの累積中止例数は10例(18.9%)であった。中止理由は転院5例(9.4%)、便秘状況の改善2例(3.8%)、効果不十分1例(1.9%)、有害事象(下痢)1例、受診なし1例(1.9%)であった。

4. 効能又は効果 慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)

2025年6月作成

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