パーキンソン病患者の慢性便秘症に対するグーフィス®の有効性と安全性

日本標準商品分類番号872359/医薬品リスク管理計画対象製品/パーキンソン病患者の慢性便秘症※に対するグーフィス🄬の有効性と安全性/処方箋医薬品:注意ー医師等の処方箋により使用すること/胆汁酸トランスポーター阻害剤 グーフィス🄬錠5mg/GOOFICE®Tablets[エロビキシバット水和物錠]2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者2.2 腫瘍、ヘルニア等による腸閉塞が確認されている又は疑われる患者[腸閉塞を悪化させるおそれがある。]※慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)
【監修】順天堂大学医学部 神経学講座 先任准教授 波田野 琢 先生
このページでは、下記2つの臨床試験の結果をご紹介いたします。
◆ 試験① 国内第Ⅲ相試験(簡易版)
◆ 試験② パーキンソン病患者の慢性便秘症に対するグーフィス®の有効性と安全性

「禁忌を含む注意事項等情報」等は、Drug Informationをご参照ください。

試験① 国内第Ⅲ相試験(簡易版)

試験概要

試験デザイン プラセボ対照無作為化二重盲検多施設共同並行群間比較試験
目的 慢性便秘症患者を対象にグーフィス®10mg又はプラセボを1日1回14日間経口投与し、投与期間第1週における自発排便回数の観察期間第2週からの変化量を主要評価項目とした二重盲検比較試験において、グーフィス®のプラセボに対する優越性を検証すると共に、安全性を検討することを目的とした。
対象 慢性便秘症患者133例(有効性解析対象〔FAS*1)〕:132例、安全性解析対象:132例)RomeⅢの機能性便秘の診断基準を参考として、同意取得時の6ヵ月以上前から自発排便回数が平均3回/週未満であり、かつ自発排便に関連した、①排便の25%以上にいきみがある、②排便の25%以上に兎糞状便又は硬便がある、③排便の25%以上に残便感がある、の3つのうち1つ以上の症状を有している慢性便秘症患者を対象とした。
プラセボ群:63例、グーフィス®10mg群:69例
投与方法 治験薬投与開始前の排便回数の調査期間として2週間の観察期間を設定した後、1日1回朝食前にグーフィス®10mg又はプラセボを14日間経口投与した。被験者は定められた時期に来院し、外来で観察・検査等が行われた。
評価項目 〈有効性に関する評価項目〉
主要評価項目(検証的解析項目)
  • 自発排便回数の変化量〔観察期間第2週 vs. 投与期間第1週〕(FAS)
〈安全性に関する評価項目〉
  • 副作用発現率
  • 臨床検査値
解析計画 主要評価項目である投与期間第1週における自発排便回数の観察期間第2週からの変化量*2)について、FASを解析対象とし観察期間第2週の自発排便回数を共変量とした共分散分析(ANCOVA)を適用した。
自発排便回数、完全自発排便回数については要約統計量を算出した。
●検証的な解析以外で得られたp値を名目上のp値とした。

自発排便:下剤/浣腸あるいは摘便なしに発現する排便。本治験においては、観察期間開始前日に下剤を使用した場合、又は観察期間開始後に救済薬(ビサコジル坐剤10mg)を使用した場合、使用後24時間以内の排便は自発排便としない。
完全自発排便:残便感のない自発排便
排便回数:「トイレに入ってから出るまでに生じた排便」を1回とカウントした(例:一度排便し、少し時間があいて再度排便した場合でも、トイレから出ていなければ1回とカウントする)。一方、排便後にトイレを出て再びトイレに入って排便した場合は、別々の排便としてカウントした。

*1)FAS:Full Analysis Set(最大の解析対象集団)治験薬が1回以上投与され、何らかの有効性に関する観測値を持つすべての被験者による集団を「最大の解析対象集団」とした。なお、排便回数の各週の評価可能日が5日未満の場合には、該当週の排便回数は欠測値として扱った。
*2)変化量=観察期間第2週データをベースライン値とした。

有効性

自発排便回数の変化量〔観察期間第2週 vs. 投与期間第1週〕(FAS)[主要評価項目(検証的解析項目)]

投与期間第1週における自発排便回数の観察期間第2週からの変化量(Mean±SD)は、プラセボ群1.73±1.88回、グーフィス®群6.40±4.73回であり、グーフィス®群はプラセボ群に対して自発排便回数の変化量が有意に大きく優越性が検証された(検証的解析結果、p<0.0001、共分散分析)。
〈主要評価項目(検証的解析結果)〉自発排便回数の変化量(観察期間第2週 vs. 投与期間第1週)
グラフ/縦軸が変化量(回/週)、横軸がプラセボ群 n=63、グーフィスⓇ10mg群 n=67
自発排便回数(観察期間第2週及び投与期間第1週)
グラフ/縦軸が回数(回/週)、横軸がプラセボ群 n=63/グーフィスⓇ10mg群 n=67/観察期間第2週、プラセボ群 n=63/グーフィスⓇ10mg群 n=67/投与期間第1週

安全性

副作用発現率

副作用の発現率は、プラセボ群7.9%(5/63例)、グーフィス®群30.4%(21/69例)であった。
いずれかの群で5%以上発現した副作用は、下表の通りであった。
本試験において死亡例を含む重篤な副作用は、いずれの投与群においても認められなかった。投与中止に至った副作用はプラセボ群0例、グーフィス®群4例9件(腹痛、下痢各4件、悪心1件)で認められた。
いずれかの群で5%以上発現した副作用
表/縦軸が副作用の種類、腹痛、下痢、横軸がプラセボ群 (n=63)、グーフィスⓇ10mg群 (n=69)

臨床検査値

血清LDL-コレステロール濃度(Mean±SD)は、本登録日、2週来院時(中止日)の順に、プラセボ群において113.4±31.5mg/dL、114.9±31.4mg/dL、グーフィス®群117.9±29.9mg/dL、104.5±25.9mg/dLであった。
血清LDL-コレステロール濃度
グラフ/縦軸がLDL-コレステロール、横軸がプラセボ群 n=63/グーフィスⓇ10mg群 n=69/本登録日、プラセボ群 n=63/グーフィスⓇ10mg群 n=67/2週来院時(中止日)

試験② パーキンソン病患者の慢性便秘症に対するグーフィス®の有効性と安全性

※慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)
【監修】順天堂大学医学部 神経学講座 先任准教授 波田野 琢 先生

パーキンソン病における非運動症状の例

多岐にわたるパーキンソン病の症状(非運動症状)
図解/神経精神症状(抑うつ、無気力、不安、幻覚、 錯覚、妄想、認知症 など)、自律神経症状(膀胱障害(尿意切迫、夜間頻尿、頻尿)、 発汗、起立性低血圧 など)、消化器症状(唾液流涎、味覚障害、便秘、排便障害、便失禁 など)、感覚症状(疼痛、知覚異常、嗅覚障害 など)、睡眠障害(レム睡眠行動障害、日中の過度の傾眠、明晰夢、不眠 など)、その他の症状(疲労、体重減少 など)
1)Chaudhuri KR, et al.: Lancet Neurol 2006; 5(3): 235-245 より作成

パーキンソン病と健康成人における結腸通過時間

グラフ/縦軸が結腸通過時間、横軸が右結腸、左結腸、S状結腸及び直腸、全体

2)Sakakibara R, et al.: J Neurol Neurosurg Psychiatry 2003; 74: 268-272 より作図

対象 パーキンソン病患者12例(男性10例、女性対象:2例)※1および健康成人10例(男性7例、女性3例)※2
方法 20個の放射線不透過性マーカーが含まれたカプセルを1日1回朝食後に6日間服用し、1週間後に腹部X線を撮影した。右結腸、左結腸、S状結腸及び直腸の3つの区分における残存マーカー数をカウントした。マーカー1個は通過時間の1.2時間に相当するため、残存マーカー数に1.2をかけ、各区分の通過時間を算出した。
※1: レボドパ(カルビドパ併用の場合を含む)服用量:1日平均200mg(範囲:100~300)、抗コリン薬を服用している患者はいなかった。平均年齢:68歳、平均罹病期間:5年、平均Hoehn & Yahr重症度分類:3度、排便回数減少(<3回/週):6例、排便困難:8例
※2: 平均年齢:62歳、排便回数減少(<3回/週):2例、排便困難:2例

パーキンソン病での非運動症状の頻度

グラフ/縦軸が非運動症状の有症率、横軸が便秘、日中の眠気、疲労、疼痛と感覚症状、睡眠障害、排尿障害、不安症状、抑うつ症状、立ちくらみ、無関心、幻覚および精神症状、認知機能障害、ドパミン調節障害の特徴
3)Maeda T, et al.: Parkinsonism Relat Disord 2017; 38: 54-60 より作図
対象 通院中の進行期パーキンソン病患者のうち1つ以上の非運動症状があり抗パーキンソン症候群治療下でwearing offを示した996例(国内35施設での多施設共同観察研究)。年齢(平均値±標準偏差):68.1±8.8歳、女性:624名(62.7%)
方法 Movement Disorder Society Unified Parkinson’s Disease Rating Scale(MDS-UPDRS)PartⅠを用いて、パーキンソン病に付随する非運動症状の割合を検討した。
Limitation 当研究は日本のみで実施されたものであり、結果は海外で適用できない。また、当研究ではMMSEスコアが23以下の患者を除外しており、認知障害が過小評価された可能性がある。

便秘症状の有無別によるパーキンソン病患者のADLとQOL【海外データ】

便秘を伴うパーキンソン病患者の臨床的特徴と関連因子を検討した研究では、便秘を有するパーキンソン病患者は、パーキンソン病の発症年齢が高く、罹病期間が長く、病期が進行しており、運動症状および非運動症状がより重症であり、便秘は、パーキンソン病患者の日常生活動作(ADL)とQOLを著しく低下させたことが報告された(海外データ)。
4)Yu QJ, et al.: Sci Rep 2018; 8(1): 567 doi: 10. 1038/s41598-017-16790-8
研究概要 中国 首都医科大学附属北京天壇医院のパーキンソン病患者306例を、便秘あり群(n=188)と便秘なし群(n=118)に分け、日常生活動作を評価するADLスケール、パーキンソン病患者の全般的なQOLを評価するPDQ-39等を用いて評価、比較した。

便通異常症診療ガイドライン2023‒慢性便秘症におけるグーフィス®の位置づけ

フローチャート2

注1)マグネシウム製剤は, 高齢者や腎機能低下者には注意. 血清マグネシウム値をモニタリングする. 保医発により, 保険診療上,糖類下剤のラクツロース製剤とPEG(polyethylene glycol)は, 従来薬を投与した後, 効果不十分の場合に投与可能である.
注2)高齢者など患者の病態に応じて投与する. 他の治療薬との併用も可である.
注3)オンデマンド療法が頻回になる場合は治療薬の変更を考慮する.
注4)他の治療薬との併用も可である.

「日本消化管学会編, 便通異常症診療ガイドライン2023‒慢性便秘症, 南江堂, 2023, p.xxiii」より許諾を得て転載
A2, Bはガイドラインを参照すること.
プロバイオティクス、消化管運動機能改善薬は慢性便秘症の効能又は効果を有していない

パーキンソン病患者の慢性便秘症に対するグーフィス®の有効性と安全性

※慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)

5)Hatano T, et al.: BMJ Open 2022; 12: e054129 doi: 10.1136/bmjopen-2021-054129 当研究はEAファーマ株式会社、持田製薬株式会社より資金提供を受けた。
6)Hatano T, et al.: Mov Disord Clin Pract 2024; 11(4): 352-362 doi: 10.1002/mdc3.13972 当研究はEAファーマ株式会社、持田製薬株式会社より資金提供を受けた。

試験概要

目的 慢性便秘症を合併するパーキンソン病患者に対するグーフィス®投与の有効性及び安全性を検討すること。
試験デザイン 2週間の観察期間と4週間の治療期間からなる、多施設ランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験
対象・方法 慢性便秘症を合併した20歳以上のパーキンソン病患者135例にインフォームド・コンセントを行い一次登録した(Visit 1,-2週時)。2週間の観察期間の後、77例を最終登録し、グーフィス®群(n=38)とプラセボ群(n=39)に無作為に割り付け(Visit 2, 0週時=ベースライン)、試験薬(グーフィス®10mg、またはプラセボ)を4週間投与した。試験薬は1日1回、食前に服用させた。投与後24時間に自発排便がみられない場合、過剰な効果や不快感が認められた場合は、試験者または患者の判断で用量を調節した(グーフィス®の最大投与量は15mg/日までとした)。また、有害事象による中断も認めた。なお、パーキンソン病の治療は、レボドパ/カルビドパ水和物経腸ゲルの投与を除き並行して行われた。救済薬としてビサコジル坐剤10mgの服用を1日2回まで認めたが、グーフィス®以外の便秘症治療薬の使用は認めなかった。患者には一次登録時に排便日誌を提供し、毎日、排便の様子等を記録させた。患者は治療期間中の2週時(Visit 3)、4週時(Visit 4)に来院し、毎日の自発排便(坐剤、浣腸、摘便を用いない排便)回数、便形状、併用薬、QOL、安全性について排便日誌にて報告した。
  • パーキンソン病の診断は国際パーキンソン病・運動障害疾患学会の基準に従い、Hoehn & Yahrの重症度分類1-4の患者を組み入れ基準とした。
  • 慢性便秘症の診断は、Rome Ⅳ基準に従った。
評価項目 有効性
主要評価項目(探索的解析項目) 救済薬/治療を伴わない(必要としない)週ごとの自発排便回数。なお、4週時におけるベースライン時からの自発排便回数の変化量についてのグーフィス®群とプラセボ群の比較を主解析とした。
副次評価項目
  • ベースライン時と4週時における自発排便回数の比較
  • ブリストル便形状スケール(BSFS)に基づく便硬度、ベースライン時のBSFSが1・2型、または3~5型であった患者の週ごとの変化(サブグループ解析)
  • 4週時におけるJPAC-QOLスコア、PDQ-39スコアのベースラインからの変化 等
安全性
有害事象(観察期間も含め全試験期間中)等
解析計画
  • グーフィス®の臨床試験※)※※)で実施された評価に基づき、両側有意水準5%で90%の検出力を持つ各群40例のサンプルサイズを推定した。
  • 有効性評価に関して少なくとも1回の試験薬投与を受け、何らかの測定を行った集団をFAS(full analysis set)とした。
  • 治験薬の投与を少なくとも1回受けた集団を安全性解析対象集団とした。
  • 主要評価項目の主解析における両群の比較は、ベースライン値と性別を共変量としたANCOVAモデルと、感度分析として反復測定に対する混合効果モデル(MMRM)によって行った。評価時点間の比較は対応のあるt検定によって行った。
  • 欠測値はLOCF法を用いて補完した。
  • BSFSに基づく便硬度については、両群の週ごとの中央値の平均値を、Wilcoxonの順位和検定を用いて比較した。また、ベースライン時の便硬度が1・2型及び3~5型であった患者の週ごとの変化についてサブグループ解析を行った。
※)Nakajima A, et al.: Lancet Gastroenterol Hepatol 2018; 3: 537-547
※※)Nakajima A, et al.: J Gastroenterol 2018; 53: 525-534
Limitation
  • 本研究では、各群40例という目標サンプル数を満たせなかった。
  • 試験薬の用量調節について、患者の判断も許容した。
  • 慢性便秘症の診断にはRome Ⅳ基準を用いたが、2週間の観察期間の自発排便回数が6回未満の患者を組み入れの必須条件としなかった。
●検証的な解析以外で得られたp値を名目上のp値とした。

試験プロトコール

5)Hatano T, et al.: BMJ Open 2022; 12: e054129 doi: 10.1136/bmjopen-2021-054129

結果

患者背景

  • chart06_1000-1090_202411

注1) LEDD:levodopa-equivalent daily dose(L-DOPA換算用量相当量) 週毎のLEDD(Mean±SD)は、グーフィス®群:65.1±508.1mg/日、プラセボ群:733.8±435.3mg/日であった。
注2) 当研究では、登録前に慢性便秘症治療薬を服用していなかった患者に対してもグーフィス®を投与しましたが、保医発1127 第2号でグーフィス®について以下の通り記載されていますのでご留意ください。「本製剤の使用に当たっては、他の便秘症治療薬(ルビプロストン製剤、リナクロチド製剤、マクロゴール4000配合製剤及びラクツロース製剤を除く。)で効果不十分な場合に、器質的疾患による便秘を除く慢性便秘症の患者へ使用すること。(保医発1127 第2号)」

注3) 合併症は、糖尿病、腎疾患、肝疾患、胆管疾患、開腹術歴、その他に関するデータを収集した。各群の合併症は以下の通りであった。グーフィス®群:高血圧11例、脂質異常症10例、糖尿病7例、その他57例(3例以上のもの不眠症4例、脊柱管狭窄症3例、腰部脊柱管狭窄症3例)。プラセボ群:高血圧5例、脂質異常症8例、糖尿病6例、その他51例(3例以上のもの逆流性食道炎4例、不眠症3例、腰部脊柱管狭窄症3例)

 

6)Hatano T, et al.: Mov Disord Clin Pract 2024; 11(4): 352-362 doi: 10.1002/mdc3.13972

有効性

自発排便回数及び4週時における自発排便回数のベースライン時からの変化量についての、グーフィス®群とプラセボ群との比較[主要評価項目(探索的解析項目)]

グーフィス®群の自発排便回数(Mean±SD)は、ベースライン時4.2±2.6、4週時5.9±3.2、ベースラインからの変化量は1.8±3.7で
あった。プラセボ群の自発排便回数は、ベースライン時4.5±2.7、4週時5.3±3.5、ベースラインからの変化量は0.8±2.8であった。
主解析である4週時における自発排便回数のベースライン時からの変化量の群間差については、有意差は認められなかった(95%CI:-0.57, 2.09、p=0.2601、名目上のp値、ベースライン時の自発排便回数と性別を共変量としたANCOVA、95%CI:-0.12, 0.31、p=0.3742、名目上のp値、MMRM[感度分析])。

ベースライン時と4週時における自発排便回数の比較[副次評価項目]

自発排便回数のベースライン時と4週時の比較については、グーフィス®群で有意な増加が認められ(p=0.0079、名目上のp値、対応のあるt検定)たが、プラセボ群では有意差は認められなかった(p=0.0889、名目上のp値、対応のあるt検定)。
ベースライン時と4週時における自発排便回数の比較
グラフ/縦軸が週あたりの自発排便回数、横軸がグーフィスⓇ群(n=38)(ベースライン時、4週時)、プラセボ群(n=39)(ベースライン時、4週時)
6)Hatano T, et al.: Mov Disord Clin Pract 2024;11(4): 352-362 doi: 10.1002/mdc3.13972

ブリストル便形状スケール(BSFS)に基づく便硬度[副次評価項目]

BSFSの週ごとの中央値の平均値は下表の通りであり、1週時、2週時において両群間に有意差が認められた(1週時:p=0.0057、名目上のp値、Wilcoxonの順位和検定、2週時:p=0.0119、名目上のp値、Wilcoxonの順位和検定)。ベースライン時に、硬便である1・2型であった患者は、グーフィス®群18例、プラセボ群17例であった。グーフィス®群において、4週時に10例(59%)が1・2型から普通便である3~5型に変化し、2例(12%)が軟便である6型に変化した。1・2型から変化がない患者は5例(29%)であった。プラセボ群において、4週時に6例(35%)が1・2型から3~5型に変化し、11例(65%)には変化がみられなかった。
また、ベースライン時に1・2型、または3~5型であった患者の週ごとの変化は下図の通りであった。
グーフィス®群では、1週時に11例が1・2型から3~5型に変化し、4例が3~5型から6・7型に変化した。プラセボ群では、1週時に3例が1・2型から3~5型に変化した。プラセボ群において、4週時に3~5型を報告した患者は6例であった。

BSFSに基づく便硬度の変化
6)Hatano T, et al.: Mov Disord Clin Pract 2024; 11(4): 352-362 doi: 10.1002/mdc3.13972 Supporting Information
Table S4
ベースライン時のBSFSが1・2型、または3~5型であった患者の週ごとの変化(サブグループ解析)
グーフィスⓇ群グラフとプラセボ群グラフ/縦軸が患者の割合、横軸がベースライン時のBSFS 1・2型、ベースライン時のBSFS 3~5型
6)Hatano T, et al.: Mov Disord Clin Pract 2024; 11(4): 352-362 doi: 10.1002/mdc3.13972

4週時におけるJPAC-QOLスコアのベースライン時からの変化[副次評価項目]

中断せずに試験を完了した各群37例について、4週時におけるJPAC-QOLスコアのベースライン時からの変化をグーフィス®群とプラセボ群とで比較したところ、Subscaleの1つである“Satisfaction”について有意差が認められた(p=0.0054、名目上のp値、2標本t 検定)。
4週時におけるJPAC-QOLスコアのベースラインからの変化
6)Hatano T, et al.: Mov Disord Clin Pract 2024; 11(4): 352-362 doi: 10.1002/mdc3.13972 より作成

参考情報

4週時におけるPDQ-39スコアのベースライン時からの変化[副次評価項目]

同様に各群37例について、4週時におけるPDQ-39スコアのベースライン時からの変化をグーフィス®群とプラセボ群とで比較したところ、Subscaleの1つである”Stigma”について有意差が認められた(p=0.0248、名目上のp値、2標本t検定)。
4週時におけるPDQ-39スコアのベースライン時からの変化
chart11_1000-320_202411
6)Hatano T, et al.: Mov Disord Clin Pract 2024; 11(4): 352-362 doi: 10.1002/mdc3.13972 より作成

安全性

有害事象は、グーフィス®群で21例(55.3%)、プラセボ群で4例(10.3%)に認められた。グーフィス®群の主な有害事象は、軟便12例(31.6%)、下痢11例(28.9%)であり、いずれも軽度であった。中等度の消化不良がグーフィス®群の1例(2.6%)に認められ、腹痛、下痢、便秘を繰り返した。プラセボ群では軟便が2例(5.1%)に認められた。
投与中止に至った有害事象は認められなかった。また、治療や入院を必要とする有害事象は認められなかった。死亡例を含む重篤な有害事象はなかった。
6)Hatano T, et al.: Mov Disord Clin Pract 2024; 11(4): 352-362 doi: 10.1002/mdc3.13972 Table S8

●安全性情報については最新の電子添文をご参照ください。

監修者コメント

パーキンソン病患者の慢性便秘症に対するグーフィス®の有効性・安全性を、プラセボ対照二重盲検比較試験によって検討した。主要評価項目である、4週時におけるベースライン時からの自発排便回数の変化量についての両群間の差には有意差は認められなかった(95%CI:-0.57, 2.09、p=0.2601、名目上のp値、ベースライン時の自発排便回数と性別を共変量としたANCOVA、95%CI:-0.12, 0.31、p=0.3742、名目上のp値、MMRM[感度分析])。これについては、サンプルサイズが当初の想定よりも小さかったこと、プラセボ群の自発排便回数が高めであったこと、患者の組み入れにおいて2週間の観察期間の自発排便回数が6回未満であることを必須としなかったこと、患者の判断による用量調節を許容したことなどの要因が考えられる。一方で、グーフィス®群における週当たりの自発排便回数については、ベースライン時と4週時の比較において、有意な増加が認められた(p=0.0079、名目上のp値、対応のあるt検定)。
今後、更なるグーフィス®のパーキンソン病患者の慢性便秘症治療に対するエビデンスの蓄積が期待される。

※慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)

2025年3月作成

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