試験デザイン | 非盲検多施設共同試験 |
対象・方法 | 慢性便秘患者341例を対象に、2週間の観察期間の後、1日1回朝食前にグーフィス®を52週間経口投与した。初期投与量として10mgを1日1回7日間投与し、それ以降は症状に応じて1日1回、5、10又は15mgの間で適宜増減とした。 |
評価項目 | 〈有効性に関する評価項目〉
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解析計画 | FAS*を解析対象集団とし、投与期間各週における自発排便回数、完全自発排便回数について要約統計量を算出した。観察期間第2週からの変化量について、要約統計量を算出し、投与期間第4、12、24、36、52週において1標本t-検定を行った。 |
自発排便:下剤/浣腸あるいは摘便なしに発現する排便。本治験においては、観察期間開始3日前から観察期間開始前日までに使用した下剤および救済薬(ビサコジル坐剤10mg)使用後24時間以内の排便は自発排便としない。
完全自発排便:残便感のない自発排便
排便回数:「トイレに入ってから出るまでに生じた排便」を1回とカウントした(例:一度排便し、少し時間があいて再度排便した場合でも、トイレから出ていなければ1回とカウントする)。一方、排便後にトイレを出て再びトイレに入って排便した場合は、別々の排便としてカウントした。
6. 用法及び用量 通常、成人にはエロビキシバットとして10mgを1日1回食前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、最高用量は1日15mgとする。
4)Ohkubo H,Nakajima A, et al:Clin Transl Gastroenterol. 2020 Sep; 11(9): e00230
(著者に持田製薬株式会社から研究費を受領した者が含まれる。当研究は持田製薬株式会社の支援にて行われた。)
排便のメカニズム1)2)
慢性便秘症群と非慢性便秘症群の便意消失率の比較
慢性便秘症群のうち治療を受けている患者での便意消失率
4)Ohkubo H,Nakajima A, et al:Clin Transl Gastroenterol. 2020 Sep; 11(9): e00230より作図
対象・方法 | 日本人20,986人を対象としたインターネットによるアンケート調査を実施し、機能性便秘に関するRomeⅣ診断基準に合致し、過敏性腸症候群ではない者の集団を慢性便秘症群(n=2,587)、機能性便秘でも過敏性腸症候群でもない者を、慢性便秘症群の年齢区分、性別と同数になるようマッチさせた集団を非慢性便秘症群(n=2,587)とした。アンケートでは、便意の頻度について、「全くない」「ほとんどない」「普通」「いつも」の4つから回答させた。便意が「全くない」「ほとんどない」と回答した者を便意消失とし、2群間の便意消失率を比較した。 |
5)Palit S, et al.: Dig Dis Sci 2012; 57: 1445-1464 6)Vollebregt PF, et al.: Am J Gastroenterol 2021; 116: 758‐768
6)Vollebregt PF, et al.: Am J Gastroenterol 2021; 116: 758‐768
対象・方法 | 機能性便秘における直腸感覚低下の影響について調査することを目的として、2004~2016年の期間において、難治性の機能性便秘の検査のためにロイヤル・ロンドン病院消化管生理学ユニットに通院していた18~80歳までの患者2,876例を後ろ向きに解析した。患者は、包括的な臨床症候に関する質問票(機能性便秘及び便失禁に関するRomeⅣ基準、CCCS:Cleveland Clinic Constipation Score(クリーブランドクリニック便秘スコア)、St Markʻs incontinence score:セント・マークス失禁スコア、便意切迫の質的な知覚と部位に関する質問を組み込んだもの)の回答を完了させた後、3種類の直腸感覚閾値(FCSV:直腸の伸展を感じる容量、DDV:便意を感じる容量、MTV:最大許容容量)を測定するため、バルーン拡張式の直腸感覚検査を含む直腸肛門生理検査を受けた。また、直腸感覚閾値の上限値を決定するため、健康人91例のデータセットを用いた。 |
7)Bampton PA, et al.: Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol 2002; 282(3): G443-449
対象・方法 | 健康成人10例(平均年齢29.2±2.7歳)を対象として、ケノデオキシコール酸の直腸内点滴注入による直腸感覚の閾値や近位結腸の運動反応への影響を評価した。直腸に挿入したカテーテルを通じてケノデオキシコール酸1mmol/150mLを3分以上かけて投与し、直腸バルーン検査にて直腸の感覚閾値などを測定した。 |
目的 | 慢性便秘症患者の便意と糞便量、直腸感覚閾値と排便に対するグーフィス®の影響について調べること。 |
試験デザイン | 前向き無作為化並行群間二重盲検プラセボ対照比較試験 |
対象 | 2020年10月~2022年5月において機能性便秘に関するRome Ⅳ基準に合致した60歳以上の慢性便秘症患者17例 |
方法 | 第1回目の来院時(Visit 1)に、文書同意を得た患者に血液検査、問診を行い、適格性が確認できた患者を仮登録し、排便日誌の記録を依頼した。1週間の観察期間の後、3日間の準備期間を設け、準備期間の最終日にホテルに宿泊した参加者を来院させて症状を記録し、正式登録した(Visit 2)。身体検査、直腸感覚閾値検査を実施し、参加者をプラセボ投与群(以下プラセボ群 n=8)とグーフィス®10mg/日投与群(以下グーフィス®群 n=9)に無作為に割り付け、試験薬を1週間投与した。 試験薬投与中のビサコジル坐剤の服用を、条件に従い1回もしくは2回許可した。 参加者は、試験薬投与中の7日間のうち、1日目~5日目までは通常通り自宅で過ごし、試験日前日の6日目はホテルに宿泊し指定の食事を摂った。7日目に来院し、身体検査、血液検査、直腸感覚閾値の検査を受けた(Visit 3)。 |
Manabe N, et al.: BMJ Open Gastroenterol 2023; 10: e001257 より改変
直腸感覚閾値の検査は、Visit 2、Visit 3において行われた。
Visit 3での検査は、試験薬投与後5時間までに行われた。検査前日の夕食、検査当日の朝食には既定の食事を摂取させた(夕食:623kcal<蛋白質17.4g 脂質 22.8g>、朝食:682kcal<蛋白質 27.4g 脂質22.7g>)。検査の4時間以上前から摂食を禁止、水のみ摂取可とした。
バロスタット法により、FCSV(first constant sensation volume:直腸の伸展を感じる容量)、DDV(defaecatory desire volume:便意を感じる容量)、MTV(maximum tolerable volume:最大許容容量)の3つの感覚閾値を5分間隔で測定した。測定値の変動が大きい場合は1回または2回追加測定を行い、中央値を算出した。
評価項目 | 【主要評価項目、検証的解析項目】慢性便秘症患者のDDVに対するグーフィス®の影響 【副次評価項目】慢性便秘症患者のFCSV、MTV及び排便に対するグーフィス®の影響 |
解析計画 |
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Limitations |
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4. 効能又は効果 慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)
※名目上のp値
対応のあるStudent’s t検定
Manabe N, et al.: BMJ Open Gastroenterol 2023; 10: e001257 Supplemental material
6. 用法及び用量 通常、成人にはエロビキシバットとして10mgを1日1回食前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、最高用量は1日15mgとする。
監修者コメント
本研究では、DDV(便意を感じる容量)はプラセボ投与群とグーフィス®投与群で有意差はつかなかったが、グーフィス®投与群では、グーフィス®投与により投与前後で、有意差を持って低下した。またFCSV(直腸の伸展を感じる容量)はグーフィス®投与前後だけでなく、プラセボとも有意差を持って低下した。本研究では、サンプルサイズが小さく、便意のある慢性便秘症患者で評価したためDDVはプラセボと有意差がつかなかったものと考察する。
『便通異常症診療ガイドライン2023-慢性便秘症』においても、直腸感覚閾値の上昇(便意の消失)が慢性便秘症の病態に関与するとされ※、便意を念頭においた治療は慢性便秘症の治療の一つであると考えられる。本研究ではグーフィス®が便意の回復に影響がある薬剤の一つである可能性が示唆された。今後のエビデンス集積が期待される。
※日本消化管学会編, 便通異常症診療ガイドライン2023‒慢性便秘症, 南江堂, 2023, p.30
2025年5月作成
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