グーフィス®錠5mg 国内長期投与試験

日本標準商品分類番号 872359/医薬品リスク管理計画対象製品・国内長期投与試験・胆汁酸トランスポーター阻害剤/グーフィス錠5㎎・2.禁忌(次の患者には投与しないこと)2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者2.2 腫瘍、ヘルニア等による腸閉塞が確認されている又は疑われる患者[腸閉塞を悪化させるおそれがある。]

「禁忌を含む注意事項等情報」等は、Drug Informationをご参照ください。

一部承認外(用法及び用量)の成績が含まれるデータですが、長期投与時の承認時評価資料のため紹介します。
EAファーマ株式会社:社内資料(慢性便秘患者における長期投与時の安全性、有効性の検討)<承認時評価資料>
Nakajima A, et al.:Lancet Gastroenterol Hepatol 2018;3(8):537-547
(著者にEAファーマ株式会社よりアドバイザー料を受領している者が含まれる。当研究はEAファーマ株式会社、持田製薬株式会社の支援にて行われた。)

試験概要

試験デザイン 非盲検多施設共同試験
目的 慢性便秘症患者を対象として、グーフィス®を長期(52週間)投与した際の安全性、有効性を検討することを目的とした。
対象 慢性便秘症患者341例(有効性解析対象〔FAS〕:340例、安全性解析対象:340例)
RomeⅢの機能性便秘の診断基準を参考として、同意取得時の6ヵ月以上前から自発排便回数が平均3回/週未満であり、かつ自発排便に関連した、①排便の25%以上にいきみがある、②排便の25%以上に兎糞状便又は硬便がある、③排便の25%以上に残便感がある、の3つのうち1つ以上の症状を有している慢性便秘症患者を対象とした。
投与方法 治験薬投与開始前の排便回数の調査期間として2週間の観察期間を設定した後、1日1回朝食前にグーフィス®を52週間経口投与した。初期投与量として10mgを1日1回7日間投与し、それ以降は症状に応じて1日1回、5、10又は15mgの間で適宜増減とした。被験者は定められた時期に来院し、外来で観察・検査等が行われた。
評価項目 〈有効性に関する評価項目〉
  • 観察期間第2週からの変化量と排便回数の推移(自発排便・完全自発排便)
  • 投与期間各週の自発排便回数及び完全自発排便回数のレスポンダーの割合
  • Bristol便形状スケールに基づいた便硬度
  • JPAC-QOLスコアによるQOL評価
  • 患者の排便に関する満足度
〈安全性に関する評価項目〉
  • 有害事象(発現率、高頻度に発現した「腹痛」及び「下痢」の治験薬の処置及び転帰)
  • 副作用(発現率、発現時期)
  • 臨床検査値
解析計画 FASを解析対象集団とし、投与期間各週における自発排便回数、完全自発排便回数について要約統計量を算出した。
観察期間第2週からの変化量について、要約統計量を算出し、投与期間第4、12、24、36、52週において1標本t-検定を行った。
●検証的な解析以外で得られたp値を名目上のp値とした。
参考:試験スケジュールと主な評価項目
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自発排便:下剤/浣腸あるいは摘便なしに発現する排便。本治験においては、観察期間開始3日前から観察期間開始前日までに使用した下剤および救済薬(ビサコジル坐剤10mg)使用後24時間以内の排便は自発排便としない。
完全自発排便:残便感のない自発排便
排便回数:「トイレに入ってから出るまでに生じた排便」を1回とカウントした(例:一度排便し、少し時間があいて再度排便した場合でも、トイレから出ていなければ1回とカウントする)。一方、排便後にトイレを出て再びトイレに入って排便した場合は、別々の排便としてカウントした。
レスポンダー:1週間あたりの自発排便回数又は完全自発排便回数が、観察期間第2週より1回以上改善し、かつ3回以上である被験者をそれぞれレスポンダーとする。

*FAS:Full Analysis Set(最大の解析対象集団)治験薬が1回以上投与され、何らかの有効性に関する観測値を持つすべての被験者による集団を「最大の解析対象集団」とした。なお、排便回数の各週の評価可能日が5日未満の場合には、該当週の排便回数は欠測値として扱った。

有効性

観察期間第2週からの変化量と排便回数の推移(自発排便・完全自発排便)

自発排便回数、完全自発排便回数について、観察期間第2週と投与期間第4週、第12週、第24週、第36週及び第52週の時点における変化量について比較検定を行った。いずれの時点においても観察期間第2週と比較して有意な増加が認められた(いずれもp<0.0001、名目上のp値、1標本t-検定)。
週あたりの自発排便回数及び完全自発排便回数は、投与期間第1週から増加し52週時点まで下記の通り推移した。
観察期間第2週からの変化量
グラフ/縦軸が変化量(回 週)、横軸が投与期間、有効性解析対象例(n=340)Mean±SD *:p<0.0001(自発排便回数・完全自発排便回数ともに観察期間第2週との1標本t-検定)
自発排便回数・完全自発排便回数の推移
グラフ/縦軸が変化量(回 週)、横軸が投与期間、有効性解析対象例(n=340)Mean±SD

投与期間各週の自発排便回数及び完全自発排便回数のレスポンダーの割合

自発排便回数のレスポンダーの割合は、投与期間第1週83.5%(95%信頼区間:79.16~87.05%)であり、第1週以降は75.3~85.7%で第52週まで下記の通り推移した。
完全自発排便回数のレスポンダーの割合は、投与期間第1週45.7%(95%信頼区間:40.50~51.04)であり、40.8~51.4%で第52週まで下記の通り推移した。
投与期間各週のレスポンダーの割合
グラフ/縦軸がレスポンダーの割合(%)、横軸が投与期間、有効性解析対象例(n=340)

Bristol便形状スケールに基づいた便硬度

Bristol便形状スケールの1週間あたりの中央値(Mean±SD)は、観察期間第2週2.05±1.02、投与期間第1週3.88±1.50、第2週3.80±1.44であり、第1週以降は3.60~3.98で第52週まで下記の通り推移した。
Bristol便形状スケールに基づいた便硬度(1週間あたりの中央値)
グラフ/縦軸が便硬度、横軸が投与期間、有効性解析対象例(n=340)Mean±SD
*Lewis SJ, et al.:Scand J Gastroenterol 1997; 32: 920-924より改変
※1回の排便で複数の形状の便が出た場合は、一番最初に出た便の形状を記録した(例:出始めは硬い便であったが、途中から軟便に変わった場合、最初の硬い便を記録)。

6. 用法及び用量 通常、成人にはエロビキシバットとして10mgを1日1回食前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、最高用量は1日15mgとする。

JPAC-QOLスコアによるQOL評価

JPAC-QOLの下位尺度である4つの項目(Physical discomfort score、Psychosocial discomfort score、Worries/concerns score、Satisfaction score)及びTotal scoreを検討した。投与期間第4週、第12週、第24週、第36週及び第52週の全評価時点において、本登録日に対して下位尺度score及びTotal scoreは有意に低下した(いずれもp<0.0001、名目上のp値、本登録日との1標本t-検定)。
JPAC-QOLスコアによるQOL評価
グラフ/Physical discomfort score、Worries/concerns score、Total score、Psychosocial discomfort score、Satisfaction score、各スコアは「0:全然ない」から「4:極度に」の5件法であり、スコアが低いほどQOLが高いことを示す。Mean±SD *:p<0.0001 本登録日との1標本t-検定有効性解析対象例(n=340)

(参考情報)患者の排便に関する満足度

患者の排便に関する満足度の割合は、スコア1(満足)、2(やや満足)、3(やや不満)、4(不満)の順で観察期間第2週では1.8%、5.6%、33.3%、59.3%であったが、投与期間第2週では16.5%、41.7%、29.3%、12.5%、第52週では41.9%、45.3%、11.6%、1.2%であった。
〈参考情報〉排便に関する満足度
グラフ/縦軸がパーセンテージ、横軸が投与期間、有効性解析対象例(n=340)

安全性

1)有害事象

①有害事象発現率

有害事象発現率は77.6%(264/340例)であった。2%以上発現した有害事象は鼻咽頭炎25.6%(87/340例)、腹痛25.0%(85/340例)、下痢15.9%(54/340例)、下腹部痛及び悪心各5.0%(17/340例)、上気道の炎症3.8%(13/340例)、インフルエンザ、腹部膨満及び肝機能検査異常各3.5%(12/340例)、腹部不快感3.2%(11/340例)、咽頭炎2.9%(10/340例)、気管支炎、胃腸炎、上腹部痛及び背部痛各2.6%(9/340例)、湿疹2.4%(8/340例)、齲歯、胃炎、軟便及び血中クレアチンホスホキナーゼ増加各2.1%(7/340例)の20事象であった。
重篤な有害事象は1.5%(5/340例:「くも膜下出血・硬膜下血腫・頭蓋骨骨折・硬膜下ヒグローマ」、「マイコプラズマ性肺炎」、「手根管症候群」、「網膜剥離」及び「鼡径ヘルニア」各1例)に認められ、「鼡径ヘルニア」は副作用とされたが、転帰は回復であった。

②有害事象において高頻度に発現した「腹痛」及び「下痢」の治験薬の処置及び転帰

腹痛は85例126件にみられ、治験薬の処置の内訳は、増量1/126件、投与量変更なし60/126件、減量48/126件、休薬10/126件、中止7/126件であった。転帰は、増量では回復1/1件、投与量変更なしでは回復60/60件、減量では回復48/48件、休薬では回復10/10件、中止では回復7/7件であり、いずれの事象も回復した。
下痢は54例92件にみられ、治験薬の処置の内訳は、投与量変更なし58/92件、減量21/92件、休薬7/92件、中止6/92件であった。転帰は、投与量変更なしで回復58/58件、減量では回復21/21件、休薬では回復7/7件、中止では回復6/6件であり、いずれの事象も回復した。
有害事象において高頻度に発現した「腹痛」の治験薬の処置及び転帰
治験薬の処置 件数 転帰 件数
増量 1 回復 1
軽快 0
未回復 0
投与量変更なし 60 回復 60
軽快 0
未回復 0
減量 48 回復 48
軽快 0
未回復 0
休薬 10 回復 10
軽快 0
未回復 0
中止 7 回復 7
軽快 0
未回復 0
有害事象において高頻度に発現した「下痢」の治験薬の処置及び転帰
治験薬の処置 件数 転帰 件数
投与量変更なし 58 回復 58
軽快 0
未回復 0
減量 21 回復 21
軽快 0
未回復 0
休薬 7 回復 7
軽快 0
未回復 0
中止 6 回復 6
軽快 0
未回復 0

6. 用法及び用量 通常、成人にはエロビキシバットとして10mgを1日1回食前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、最高用量は1日15mgとする。

2)副作用

①副作用発現率

副作用の発現率は47.9%(163/340例)であった。2%以上発現した副作用は、下表の通りであった。本試験において死亡例は認められなかった。
重篤な副作用として、鼡径ヘルニアが1例1件に発現した。投与中止に至った副作用は18例26件(腹痛7件、下痢6件、腹部膨満、肝機能検査異常 各2件、顔面麻痺、腹部不快感、上腹部痛、鼓腸、鼡径ヘルニア、軟便、発疹、蕁麻疹、末梢性浮腫 各1件)であった。
2%以上発現した副作用(n=340)
副作用の種類 発現例数(%)
腹痛 82(24.1)
下痢 50(14.7)
下腹部痛 17(5.0)
腹部膨満 11(3.2)
悪心 10(2.9)
肝機能検査異常 10(2.9)
腹部不快感 7(2.1)

②副作用発現時期

副作用の初回発現時期について、治験薬の服薬開始日を1日目とし、28日間ごとに区分した場合の時期別発現例数と発現率を確認した結果、いずれかの期間において初回に2%以上発現した副作用は腹痛、下痢、下腹部痛及び腹部膨満の4事象であった。各期間での発現率は下表のとおりであり、いずれも1~28日目において発現率が高かった。
28日間ごとに区分した場合にいずれかの期間において初回に2%以上発現した副作用の発現率
期間 腹痛 下痢 下腹部痛 腹部膨満
1~28日目 15.9% 8.2% 4.7% 2.1%
29~56日目 2.4% 1.2% 0% 0.3%
57~84日目 1.5% 1.5% 0% 0%
85~112日目 0.6% 1.2% 0% 0.3%
113~140日目 1.2% 1.2% 0% 0.3%
141~168日目 0.9% 0% 0% 0%
169~196日目 0.9% 0.3% 0% 0.3%
197~224日目 0% 0% 0% 0%
225~252日目 0% 0.3% 0% 0%
253~280日目 0.3% 0% 0% 0%
281~308日目 0% 0.3% 0% 0%
309~336日目 0.6% 0.6% 0.3% 0%
337日目~ 0% 0% 0% 0%

3)臨床検査値

血清LDLコレステロール濃度(Mean±SD)は、本登録日、投与期間第4週、第12週、第24週、第36週、第52週の順に、117.4±31.2mg/dL、107.8±29.4mg/dL、108.3±30.5mg/dL、108.1±30.0mg/dL、109.9±30.5mg/dL、111.2±29.5mg/dLであった。
血清コレステロール濃度
chart07_1000-560_202501

6. 用法及び用量 通常、成人にはエロビキシバットとして10mgを1日1回食前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、最高用量は1日15mgとする。

2025年4月作成

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